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<杜の都のチャレン人>無駄ない形 究めたい

「研究は試行錯誤の連続」と話す多田隈さん=仙台市青葉区の東北大キャンパス

◎災害現場で活動する移動ロボットを研究 多田隈建二郎さん

 黒い、イモムシのようなクローラー(無限軌道)を左右に備えた機体が動きだす。しばらく直進していたかと思うと、突然姿勢も変えず横移動を始め、次には斜め前方へ滑るように進む。前後左右への自在な走行を可能にする研究中の移動ロボットだ。
 「灰が積もった火山災害の被災地や、がれきが散乱する原発事故の現場など、人間が容易に近づけない場所での使用を想定しています」。准教授として研究活動をする東北大キャンパスの一室で、自身の「作品」を解説する。
 熊本県出身。幼い頃から、機械いじりや工作が好きで、動物型ロボットの組み立てキットに夢中になった。同じくらい熱中したのが川での魚捕り。魚を扱う中で身に付けた指先の鋭敏な感覚は、ロボットの部品形状や強度を推し量る際に生きている、という。
 転機となったのは高校時代。SF漫画「AKIRA」との出合いだ。作中登場する脚の先端に車輪が付いた四足歩行ロボット、「セキュリティーボール」にどっぷりはまった。「これを作りたい」という当時の思いが、研究中のロボットに投影されている。
 研究で大事にしているのは「シンプルであること」。ある動きを実現しようとする時は、より少ない数の部品で実現するよう心掛ける。いびつな部品を分割、整理して再構成する。「良い発明ほど無駄がなく、よく動く」からだ。
 研究の対象は医学分野にも広がる。シャーレで培養した医療用の細胞シートを、しわを寄せることなく取り上げ、必要箇所に貼り付ける医療用器具。これまで熟練者のピンセットさばきに頼っていた一連の動作を、クローラー運動の応用で容易にした。
 惑星の地表探査機から、車いすにベビーカー、工業用ロボットの指先まで、クローラーの可能性は広範だ。「ものの本質を見極め、機能的な形状を作りたい」(や)

<ただくま・けんじろう>79年熊本県八代市生まれ。東京理科大工学部機械工学科卒。東京工業大大学院理工学研究科修了。大阪大大学院工学研究科助教などを経て、15年、東北大大学院情報科学研究科准教授。仙台市青葉区在住。


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2016年12月24日土曜日


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