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<只見線>復旧方針26日にも取りまとめ

新潟・福島豪雨で崩壊、流失した只見線の橋4カ所の一つ=福島県金山町

 2011年7月の新潟・福島豪雨による不通が続くJR只見線会津川口(福島県金山町)−只見間の復旧方針が間もなく定まる。福島県と沿線市町による只見線復興推進会議検討会は26日の会合で、線路などを地元自治体が所有する「上下分離方式」による鉄路復旧方針をまとめる見通し。ただ復旧費の負担割合といった課題は残り、自治体間の調整や住民への説明などが求められそうだ。(会津若松支局・跡部裕史)

<「上下分離」採用>
 「奥会津の遺産を引き継ぐため鉄路を復旧してほしい」「子どもたちの負担が過重になる」。11月30日、会津美里町であった沿線の住民懇談会。上下分離方式による鉄路復旧案を巡り、賛否両論の意見が出た。
 県や市町村は(1)生活路線として不可欠(2)紅葉や雪の景色が美しいローカル線で観光資源になる(3)国道寸断に備える防災上も必要−として鉄路復旧を目指し、JR東日本が6月に復旧条件として示した上下分離方式を採用する方向だ。
 JR東は代行バスの継続案を主張。1日3往復だった不通区間の10年度の平均利用者は1日49人、1便約8人と少なく、09年度は3億2900万円の赤字を計上。鉄路では赤字が膨らみ続けると説明してきた。
 JR東は停留所増設など柔軟に対応できるバスの利点を訴えるが、地元側は「利用客が少ない他区間もなし崩し的にバスに切り替えられるのでは」(矢沢源成三島町長)と懸念する。

<法改正にも期待>
 上下分離による鉄路復旧の場合、多額の財政負担が伴う。81億円と試算された復旧費は、JR東が3分の1に当たる27億円を、県と会津地域17市町村が残りの54億円を負担する。
 県などは積み立てた復旧基金21億円を活用する方針。黒字経営の鉄道事業者への災害復旧費補助を可能にする法改正にも期待しており、斎藤文英会津坂下町長は「只見線は国策のダム建設のため造られた。国が責任を持って復旧に関与してほしい」と注文する。
 ただ、自民党の議員連盟が提唱する法改正も実現の見通しは立っていない。加えて、上下分離で生じる線路や信号の保守に伴う年間運営費は2億1000万円に上る。災害発生時などは負担額はもっと増える。
 将来にわたる負担をどう捉えるか。
 不通区間を抱える金山町の高齢化率は約60%。現在約2200の人口は40年には1000を切ると予想されている。山内建史副町長は「税収は減る一方で負担額は変わらない。ただ鉄路復旧の価値はそれを補って余りある」と話す。

<形式的な懇談会>
 異なる意見もある。沿線自治体の関係者は「ずっと先まで負担できるか不安。復旧費や維持費分を地域活性化策に回せば多くのことができる」と指摘する。
 県は11月27日の沿線自治体との検討会で、年間運営費2億1000万円について、県が7割を負担するなどの試算を示したが、住民懇談会では明らかにしなかった。
 加えて懇談会の発言者は沿線市町の推薦者が中心で形式的だったため、住民側から「もう少し丁寧に住民の意見を聞くべきだ」といった不満の声が上がった。
 県は26日の方針取りまとめに続き、年度内に負担割合を含む具体的な復旧計画を策定する方向。どれだけ多くの地域住民の意見を反映させられるか。県と沿線自治体の努力が問われる。


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2016年12月24日土曜日


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