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19歳真冬の松島湾で奮闘 漁師の夢諦めず

ワカメを収穫する青木さん=21日午前8時、塩釜市の松島湾

 松島湾特産の養殖ワカメの水揚げが今月始まり、19歳の漁師が毎朝、刈り取りに励んでいる。宮城県塩釜市の青木拓斗さん。普通高校を卒業後、イカ釣り漁船の漁師を経て今年2月、同市の海藻加工会社「シーフーズあかま」に就職した異色の新人だ。

 冬至の21日早朝、青木さんは同社顧問の赤間広志さん(68)、社長の俊介さん(32)親子と船に乗り、漁場に向かった。小型クレーンで海中のロープを引き上げると、褐色に輝くワカメが現れる。長さ1.3メートルほどに成長したワカメを鎌で手際よく切り取った。
 水深が浅い松島湾は、秋口の水温変化が早いためワカメの成長に適した環境とされ、全国で最も早く12月に収穫が始まる。
 この日は冷え込みが緩んだが、真冬の漁場は氷点下になることもある。「体を動かしていれば、温かくなるので」と、青木さんは黙々と作業をこなした。
 仙台市出身。東日本大震災で住んでいたアパートが損壊したため、家族と塩釜市に移住。2015年に塩釜高を卒業した。
 漁師に憧れを抱いたのは小学生の時だ。マグロの一本釣りをテレビで見て「かっこいい」と思った。実は水産高校を志望したかったが、通学に時間がかかることから断念した。
 しかし、夢は諦めきれなかった。高校卒業後、仙台市で開かれた漁師就業フェアで知り合った釜石市のイカ釣り漁師の下に飛び込んだ。15年4〜12月、船酔いに苦しみながら働いた。「漁は楽しかったけれど、収入は不安定。養殖も勉強したい」と地元に戻った。
 松島町のカキ養殖漁師に相談し、紹介されたのが今の会社。16年2月に入社し、ワカメやアカモクの収穫、工場での加工作業などで経験を積んでいる。
 俊介さんは「仕事ぶりは真面目」と新人に期待を寄せる。漁業は高齢化と後継者不足が深刻化しており、「彼に倣って若者が続々と入ってくれればうれしい」と語る。
 「漁師をしていると同級生に説明すると『お前、何してんだ』と驚かれる」。青木さんは恥ずかしそうに、それでいてうれしそうな表情で語る。「ゆくゆくは漁業権を持って、自分で海藻の養殖を手掛けたい」。新たな夢を描いている。


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2016年12月25日日曜日


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