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<手腕点検>市街地集約 理念を推進

5年9カ月ぶりのJR常磐線運転再開を祝い、特産のイチゴをJR職員に贈る斎藤町長(左)=10日、JR山下駅

◎2016宮城の市町村長(22)宮城県山元町 斎藤俊夫町長

 「新しい駅が核となる利便性の高い市街地形成に取り組んできた」。JR常磐線が再び山元町内を走った10日に山下駅であった式典で、斎藤俊夫町長(67)は自ら進め、形になったコンパクトシティーのPRを忘れなかった。

<若い世代が流出>
 面積の約4割を津波にのまれた町は、集団移転先を山下、坂元両駅周辺など3カ所に限定し、公共施設を集約。斎藤町長は「コンパクトにすることで、インフラ維持管理のコストを削減できる。子育て施設などを集約し、若者世代を引きつける」と力説する。
 しかし常磐線の再開に時間がかかり、若い世代の流出が相次いだ。阿部均町議会議長(69)は「コスト削減には有効だろうが、新市街地を待ちきれない人が続出した。町長の考えは住民と距離があった県庁職員時代の事務屋のまま。トップダウンが過ぎ、町民目線でない」と指摘する。
 こうした声に、斎藤町長は「震災前の人口減少傾向からも施設集約は避けられなかった」と反論。「もう少し議論したかったのかもしれないが、非常時に応じた進め方がある。私に行政経験があったから何とかさばけた」と意に介さない。
 斎藤町長は県の危機管理監や仙台地方振興事務所長を歴任し、2010年4月の町長選で初当選した。翌年に起きた震災からの復興を指揮。14年に再選を果たし、2期目を折り返した。
 計画した災害公営住宅490戸のうち415戸が完成し、来年3月に整備完了の予定。ハード整備にめどは立ったが、町は深刻な人口減少に直面する。
 町の人口(15年国勢調査)は震災前の約4分の3の1万2315で、高齢化率(16年3月)は6.3ポイント増の37.1%。本年度の町税収入は約8割にとどまる見通しだ。

<議会が駄目出し>
 交流人口の拡大を模索する中で、町議会から駄目出しされたケースもあった。
 今年の6月定例会に町が提出したパークゴルフ場建設計画の関連予算は、議会側が補正予算案から削除させた。6億〜8億円を町が負担する計画に「近隣自治体でも整備予定のパークゴルフ場は今取り組む事業でない」(青田和夫副議長)と半数以上が懸念を示した。
 一方で、住宅新築世帯などを支援する定住促進事業は結果が出ている。最大300万円の補助金を活用した転入世帯は本年度、40世帯106人を超える見込みで、前年度の10世帯31人を既に上回った。
 斎藤町長は「悲観的な要素ばかりでない。常磐線再開を人口減少からの反転攻勢の機会にしたい。今後2年が正念場」と、さらなる転入増を目指す。
 内陸移転を伴う新市街地形成によって、分断された形となった旧市街地の住民には不満も残る。町民の声に耳を傾け、ハード整備で見せた手腕を人口減少対策と町民融和に振り向ける努力が求められる。(亘理支局・安達孝太郎)


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2016年12月26日月曜日


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