宮城のニュース

<回顧みやぎ>談合「暗黙の了解」深い闇

亘理町企画財政課に家宅捜索に入る県警の捜査員。幹部職員の逮捕に役場には衝撃が走った=10月19日、町役場

 東日本大震災から6年目を迎えた2016年。宮城県内では、交通インフラを中心に被災地の復興が進む中で、復興工事を巡る事件もあった。新市誕生や商業地集積に沸く一方、政治家のモラルが問われた1年でもあった。現場の記者が振り返る。

◎2016振り返る(7)亘理町官製談合事件

<95%以上が多発>
 「業者の間には、暗黙の了解がある」
 10月19日に明らかになった亘理町発注の東日本大震災復旧工事を巡る官製談合事件は、町の企画財政課長と業者が共謀し、確定した入札をやり直させた前代未聞の出来事だった。取材で訪ねた元町幹部がぽろりと語った「暗黙の了解」という言葉が、引っ掛かった。
 町発注の震災復旧工事では、一般的に談合の疑いが濃いとされる95%以上の落札率が多発している。数年前に退職したこの元幹部の在職時も、同様だった。元幹部も、うすうすと一部業者の不正を感じていたのかもしれない。
 では「暗黙の了解」とは何か。「縄張りと関連工事の実績の組み合わせが受注の決め手」。町の業界関係者がヒントをくれた。
 今回、談合の対象となったのは荒浜地区の排水路工事。やり直しの入札で落札したのは荒浜を地盤とする八木工務店率いる共同企業体だった。震災後の工事履歴を調べると、確かに八木工務店が荒浜の排水関係の工事を少なくとも4件受注していた。
 地元で関連工事の実績を重ねた同社が落札する−という筋書きが何かの拍子で狂い、やり直しに至ったのかもしれない。落札額はやり直しの前より約500万円も多い2億4000万円に上った。落札率は97.2%で、税金を思いのままにしていたことが分かる。

<倫理観がまひか>
 町では2011年度、44億円ものがれき撤去事業が緊急性を理由に入札なしの業務委託で行われた。この時、業者側の窓口を務めたのが八木工務店の社長らだった。数十億円もの巨額の事業が入札なしに契約されるのは異例だ。一部の町職員と業者は「震災後の非常時だから」といった当時の感覚を引きずり、倫理観をまひさせてしまったのか。
 町は事件後、8項目の多岐にわたる入札改革をまとめた。盛りだくさんな内容は、今まで何もしてこなかったことの裏返しとも言える。歴代町幹部が談合の気配を感じながら放置していたのなら、責任は大きい。
 暗黙の了解、そして震災後の倫理観のまひ…。事件には、さまざまな背景があるように見える。発覚から2カ月余り。復旧工事の闇は、どこまで解明できるのか。公判は26日、仙台地裁で始まる。
(亘理支局・安達孝太郎)

[メモ]昨年11月にあった亘理町発注の条件付き一般競争入札で、一度確定した入札をやり直させたとして、町企画財政課長の吉田充彦(55)=現総務課付=、八木工務店社長の八木昌征(65)、渡辺工務店社長の渡辺勝利(54)の3被告が官製談合防止法違反などの容疑で逮捕、起訴され、阿部春建設の百々昌之取締役(60)が在宅起訴された。やり直しの前の入札で落札した阿部春建設率いる共同企業体などから、異論は出ていないとされる。


関連ページ: 宮城 社会

2016年12月26日月曜日


先頭に戻る