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<東北の原子力施設>稼働いまだゼロ

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で本格工事や稼働が止まった東北の原子力関連施設は2016年、工事再開や完成といった見通しの延期表明が相次いだ。
 国の関与を強化し、核燃料サイクル事業を確実に実施するため認可法人「使用済燃料再処理機構」が同年10月、青森市に発足した。一方、要になる高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉が決まり、核燃政策自体が揺らいでいる。
 震災からまもなく6年、各施設が稼働しない状態が定着することに立地自治体から不安や不満の声も上がった。

◎新規制基準適合性審査/地震・津波と設備 並行審理

 福島第1原発事故を教訓に策定された新規制基準に各原子力関連施設が対応できているか、電力会社など事業者の申請に基づいて原子力規制委員会が審査する。
 新基準は原発が2013年7月、核燃料施設が同年12月にそれぞれ施行された。事業者の自主性に任せていた重大事故対策やテロ対策などが新たに義務付けられ、地震や津波、設備面の対策強化が求められた。
 審査は大きく分けると、地震・津波の関連とプラントなど設備に関する部分があり、並行して審理が進められる。事業者の説明の妥当性を規制委が判断する。
 地震・津波の分野では、事業者側が原発周辺の活断層の有無や施設を襲う最大津波の高さなどを説明する。説明の妥当性が認められ、最大地震による基準地震動を決めることが最大のポイントになる。一方、重要施設の直下に活断層が見つかった場合は、廃炉を余儀なくされる。
 設備面では、電源設備のバックアップ体制や炉心損傷を防ぐ対策など各設備について、想定と対策が新基準の要求を満たしているかを確認する。基準地震動が決まらないと審査できない項目もある。
 格納容器の破壊を防ぐフィルター付きベント設置に猶予期間がある加圧水型軽水炉(PWR)の審査が先行した。これまで運転開始から40年になる関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)など老朽原発3基を含む10基が審査に合格した。
 東北の原発は沸騰水型軽水炉(BWR)だけなので、現在も審査の合格は出ていない。
 最初に合格した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の場合、審査会合は約70回、原発の停止期間は4年3カ月に及んだ。
 経済界を中心に審査の長期化を非難する声が上がる一方、02年に発覚した東京電力トラブル隠し問題(停止期間2年8カ月)、11人が死傷した04年の美浜原発3号機の蒸気噴出事故(同2年6カ月)と福島第1原発事故を比べれば、審査の長期化を妥当と見なす声もある。


2016年12月23日金曜日


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