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筆談指導で全国へ 声帯摘出乗り越え監督復帰

ベンチで筆談用のホワイトボードを手に選手たちにアドバイスを送る鈴木さん=利府高

 宮城県利府町の利府高ソフトボール部総監督の鈴木隆さん(67)が咽喉がんを克服し、筆談で女子選手の指導を続けている。声を出せないストレスはあるが、「私の気持ちを理解してくれ、以前と同じように指導ができる」と感謝する選手16人と来年3月、7年ぶり2度目の全国高校選抜大会に挑む。

 同校グラウンドで小さいホワイトボードを手に立つ。練習で気になった選手を呼び、ペンを走らせる。「楽しくやろう」「グラウンドで泣いてはいけない」。選手は文字を真剣なまなざしで追う。
 宮城県松島町出身。2002年、利府高に赴任した。監督として07年の県高校総体と09年の県高校新人大会で優勝に導き、定年退職後の14年から総監督を務める。
 今年9月下旬、がんが見つかり声帯摘出手術が必要になった。「指導ができなくなる」と不安を抱えたが、徳重貴宏監督(45)に「2人で利府高の黄金期をつくりましょう」と励まされて奮い立った。
 手術を遅らせて指導を続けると、チームは10月中旬の県高校新人大会で優勝し全国切符を獲得。手術を翌日に控えた10月末、入院先に集まった選手らに語り掛けた。「君たちは桜に例えると、根に肥料が入ったばかりだ。自分や監督、応援してくれる人が手を加え、全てがそろえば、来年の県高校総体で優勝できる」
 自分の努力と周囲の支えがあってこそ成長できることを、最後の肉声で伝えたかった。選手たちは涙を流して聞き入った。
 11月末に復帰し、選手らに拍手で迎えられた。エースの斎(いつき)紅稲(あかね)選手(2年)は「声が聞けなくなって悲しいけど、再びグラウンドで指導してくれる気持ちに応えたい」と意気込む。
 初戦敗退した前回大会は監督として采配を振ったが、今回はスタンドで見守る。「チームの黄金期をつくる第一歩として、全国の舞台を楽しんでほしい。自分も死ぬまでグラウンドに立ち続けたい」。ホワイトボードに大きな夢を描く。


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2016年12月27日火曜日


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