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<三陸沿岸道>生活道確保へ業者連携

近隣の施工業者が連携し、懸命の復旧工事が続いた国道106号の被災現場=9月5日、宮古市蟇目(ひきめ)(三陸国道事務所提供)

 岩手県を襲った台風10号豪雨は各地の幹線道路を寸断した。道路復旧の現場と三陸沿岸道路を生かした道路網強化の動きを追う。(盛岡総局・山形聡子)

◎岩手復興 大動脈北へ(19)早期復旧

<豪雨で国道寸断>
 本来の道路工事より、まず復旧だった。
 宮古市西部の山間部にある茂市地区。8月30日に岩手県を襲った台風10号豪雨で、閉伊川沿いの国道106号は濁流によって約260メートルがさらわれた。
 復興支援道路「宮古盛岡横断道路」を施工する戸田・岩田地崎特定建設工事共同企業体(JV)の前作業所長杉内仁志さん(60)は31日朝、現場事務所から1.5キロ東にある被災場所に向かった。
 片側1車線の道路はコンクリート製の護岸もろとも流され、山側の路肩が1〜2メートルほど残っているだけ。ガードレールは川に垂れ下がり、ひしゃげていた。
 内陸と沿岸をつなぐ動脈が寸断された。
 杉内さんは「通常なら開通に1カ月はかかる状況。不幸中の幸いだったのは、横断道路施工のため、近くに多くの業者がいたことだ」と振り返る。
 茂市地区の被災現場の工事は、地区の孤立が解消された9月2日に着手。10日には復旧した。
 国道106号のほか、被害が甚大だった岩泉町と盛岡市を結ぶ国道455号、久慈市に至る国道281号など多くの県管理道路が被災した。県は単独での早期復旧は難しいと判断し、台風が襲来した8月30日夜、東北地方整備局三陸国道事務所に協力を求めた。
 同事務所は、三陸沿岸道路や宮古盛岡横断道路で施工中だった業者に復旧作業に当たるよう要請。2本の国道と岩泉町内の県道の復旧に延べ58社が携わった。
 岩泉町を横断する国道455号は、国道45号から町中心部に向かう途中の乙茂(おとも)地区で約130メートルが流失。東側からの復旧を担った青木あすなろ建設(東京)の白髭伸雄主任(45)らは8月31日、三陸沿岸道路を建設していた普代村から駆け付けた。
 盛り土材に使う土砂は宮古市内の三陸沿岸道路トンネル工事現場から運び、西側からは別の業者が作業に当たった。「自分たちだけでは20日はかかると思った」。各社が連携し、被災10日後の9月8日に復旧した。

<24時間フル回転>
 内陸部の建設会社もフル回転した。岩泉町内の国道455号で最後まで通行止めだった西部の落合−二升石(にしょういし)間の約2キロでは、3カ所で道路が崩れた。
 分断により沿岸方面から作業に入るのは困難になった。県建設業協会盛岡支部の19社が道路が無事だった盛岡方面から重機や作業員を送り込み、24時間態勢で作業した。土砂や砂利が足りない時は、小本(おもと)川の川底の岩を掘って調達した。
 工事を担当した遠忠(八幡平市)の遠藤忠臣社長は復旧工事中、現場近くにある旧JR岩泉線の橋を歩く住民の姿を見た。道路が使えず、やむなく廃線になった鉄路に頼っていたのだ。
 遠藤社長は「物資を運ぶ輸送道路は生活に欠かせないインフラ。とにかく早く復旧させるという思いだけだった」と語る。
 早期復旧の背景には、かつてないスピードで進む復興道路の整備と関係機関の連携があった。


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2016年12月27日火曜日


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