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<行く年に>台風で氾濫の川 今年も遡上

塩漬けした後につるされた小本川のサケ。冷たい潮風がうま味を引き出す

 今年も一年が終わろうとしている。東日本大震災から6度目の年の瀬となる。東北各地の暮らしや習俗を見詰め、人々の息遣いに耳を澄ませた。

◎東北歳末点描(5)新巻きザケ作り=岩手県岩泉町

 銀色と紅色のカーテンが冬の潮風に揺れる。
 岩手県岩泉町で小本(おもと)川を遡上(そじょう)してきたサケの新巻きが、今年も食卓に上り始めた。別名寒風干し。冷たく乾いた風に4日ほどさらすと身が引き締まり、うま味がぐっと上がる。
 小本川は台風10号豪雨で氾濫し、甚大な被害をもたらした。川岸では今も流木や被災家屋の片付けが続く。それでもサケは変わらずに帰ってきた。
 「いい出来だ」
 箱石公治さん(73)が身をなでるように堅さを確かめ、干す時間を見極める。
 「やっぱり新巻きザケを食べないと年は越せない。ふ化場に被害が出て不安だが、前へ進むしかない」
 地元の小本浜漁協のサケふ化場は台風で被災したが、宮古市と田野畑村の施設の協力を得て、来春は約1100万匹の稚魚を放流する予定だ。
 サケはまた帰ってくる。復興へ力強く歩む町に。


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2016年12月27日火曜日


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