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<原発避難いじめ>寄り添う心 風化に危機感

原発避難いじめを巡り、教育現場の改革の必要性を語る義家氏

 東京電力福島第1原発事故で福島県から自主避難した児童生徒へのいじめが横浜市などで明らかになった問題を巡り、義家弘介文部科学副大臣は26日、河北新報社のインタビューに答えた。いじめ防止対策推進法の運用面に課題があったとの認識を示し、教育現場の改革に取り組む覚悟を強調した。(聞き手は東京支社・片山佐和子)

 −横浜市や新潟市でのいじめ発覚を受け、現地で指導、助言をした。
 「東日本大震災から5年9カ月がたち、古里を離れざるを得なかった人々へ寄り添う気持ちが風化していると危機感を覚えた。避難者への偏見や無理解の影響もある。子どもは大人の考え方を敏感に悟る。震災前とは別の居住地の学校に通う福島県の子どもは1万2000人以上。古里に帰れない事情を理解すべきだ」

 −横浜では学校や市教委の対応の遅れが問題視された。いじめ防止対策推進法は機能しなかった。
 「問題は運用だ。いじめが起きた時に対応するシステムが形式的で、明らかに機能しなかった。法が定める『重大事態』だという意識も低かった」
 「小学校高学年で多額の金品のやりとりがあり、常識の範囲を超えていた。不登校を余儀なくされ、命(自死)について考えるほど子どもが追い詰められた。教育が介入して事実を明らかにすべきなのに、警察が不受理だったとして問題を矮小(わいしょう)化した」

 −推進法施行から3年が経過し、見直しが進む。
 「横浜では学校と教育事務所、市教委の情報共有などガバナンス(組織統治)にも問題があった。重大事態が起きた時に対応するプロセスを、法の原点に戻って整理する必要がある」

 −改革への覚悟は。
 「東北福祉大の特任准教授(2007年4月〜12年12月)を務めた。古里が被災した教え子も多く、心を痛めている。避難者に対する排他的な風潮は社会全体で変えないといけない」
 「今朝、地元(神奈川県)で街頭演説中、福島から避難した男性に声を掛けられた。涙ながらに『子どもたちを守ってほしい』と言われ、大人も不安の中にあるのだと感じた」

[いじめ防止対策推進法]大津市で2011年に起きた中2男子のいじめ自殺をきっかけに制定され、13年9月施行。被害者が心身の苦痛を感じているものをいじめと定義。定期的な調査や相談窓口の設置、早期発見、防止措置を学校にも求めた。自殺や不登校など深刻ないじめ被害が疑われる「重大事態」では学校や教委による調査と被害者側への情報提供を義務付けた。


2016年12月27日火曜日


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