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<女川凍る再稼働>避難計画遅れ 実効性課題

牡鹿半島にある「おしか清心苑」。原発事故時に高齢者を安全に避難させられるめどは立っていない=宮城県石巻市

 東北電力が2013年12月、原子力規制委員会に女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の新規制基準に基づく適合性審査を申請し、16年12月27日で丸3年になった。審査は長期化し、焦点の地震・津波分野はようやく詰めの議論に入った。地元住民は再稼働への期待と不安で揺れ動き、自治体は避難計画づくりを本格化させている。東日本大震災からまもなく6年。女川原発の再稼働を巡る今を検証する。(原子力問題取材班)

◎2号機審査申請3年(下)ハードル

<多くは寝たきり>
 東京電力福島第1原発事故で現実となった「原発避難」だが、実効性のある備えは容易でない。
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)から南に12キロ。石巻市牡鹿半島の先端に近い鮎川浜にある特別養護老人ホーム「おしか清心苑」には、介護を要する高齢者60人が暮らす。多くは寝たきり。移動には車椅子やストレッチャーが必要だ。
 「原発事故が起きても、職員だけでお年寄りを安全な場所まで避難させるのは無理。まして内陸に避難するには、いったん原発に近づかなくてはならない」。鈴木静江施設長(67)が不安を口にする。
 原発から30キロ圏内の社会福祉施設について、宮城県のガイドラインは個々に避難計画を作るよう定めるが、策定できた施設は少ない。清心苑も策定時期は未定。屋内退避後に避難が必要になっても利用者を移動させる難しさがあり、受け入れる福祉施設の確保という課題もある。
 ようやく県が社会福祉施設の避難計画策定の支援を始めた。鈴木さんは石巻市にも早期策定を促す。「施設の計画を作る上で市の計画が前提となる。市は早く作って、実効性が上がるよう訓練を重ねてほしい」と気をもむ。

<5市町策定済み>
 国から避難計画策定を義務付けられた30キロ圏の7市町のうち、策定できたのは石巻市、女川町を除く5市町。石巻市は、県のガイドラインで市民15万人の避難先を県内27市町村に振り分けられたため調整に時間がかかっている。16年度内の策定を見込む。
 石巻市の二上洋介総務部次長は「東日本大震災最大被災地だからこそ、さまざまな条件を想定している」と話しつつ、疑問も口にする。「原発事故の影響は広範囲に及ぶ。市町単位の計画でいいのか。隣の市に逃げても渋滞していたら意味がない。国や県が広域の計画を作るべきだ」

<解消 道のり遠く>
 計画策定済みの5市町と、出来上がりつつある女川町は「計画策定と再稼働の是非は全く別問題」と強調しながら、計画の実効性向上に向けて県や国に主体的に関わるよう求める。
 登米市の星茂喜危機管理監は、事故発生時の情報発信や住民への安定ヨウ素剤の配布方法、渋滞対策など、県や国の責任で対応すべき課題を挙げる。
 「住民の安全のために市がやるべきことはやる。県、国がやらなくてはならないことは早急に検討してほしい」と訴える。
 徐々にだが、確実に近づく女川原発の再稼働。対照的に、住民や自治体の不安解消への道のりはあまりにも遠い。


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2016年12月27日火曜日


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