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<回顧みやぎ>県議会 求められる真の改革

政活費問題を巡り、1年間に2人の議長が引責辞任に追い込まれた県議会。信頼回復への道のりは険しい

 東日本大震災から6年目を迎えた2016年。宮城県内では、交通インフラを中心に被災地の復興が進む中で、復興工事を巡る事件もあった。新市誕生や商業地集積に沸く一方、政治家のモラルが問われた1年でもあった。現場の記者が振り返る。

◎2016振り返る(9)議長2代続けて引責辞任

<政活費不正問題>
 県庁近くに止まった車に乗り込み、1時間にわたって安部孝元議長(宮城選挙区)に説明を求めたのは2月上旬の寒い夜だった。県議会を揺るがした政務活動費(政活費)問題を巡る取材の始まりだった。
 あれから10カ月。仙台事務所への不正支出などで仙台市民オンブズマンから3度も監査請求され、約900万円を返還した安部氏は6月中旬、引責辞任した。
 後任の中山耕一前議長(富谷・黒川同)も、マッサージチェアの領収書や運転代行業者から受け取った白紙領収書を利用した不正受給が発覚し、11月下旬に退任を余儀なくされた。
 最大会派「自民党・県民会議」出身の議長が、2代続けて半年足らずで退場する前代未聞の事態。取材の過程で、「政活費=税金」の使い道に関する議員の甘い認識に怒りを覚えた。
 安部氏は内縁の妻(当時)が所有する仙台市内の建物の賃料に政活費を充て、中山氏は2015年度、業者の白紙領収書に水増しした額を書き込み、31回も政活費を受給していた。

<ルールに抜け道>
 身内の懐を温めたり、宴会の帰りの足代に使ったりしたのではないかと勘繰りたくなる政活費の使途は、県民の感情に照らし合わせれば明らかに問題がある。
 ただ、県議会が定める政活費の運用手引は、内縁の妻が所有する建物への事務所費支出や運転代行代金に使うことを明確に禁じてはおらず、チェックするすべも乏しかった。各議員が襟を正すのはもちろんだが、政活費の支出を縛るルール自体に抜け道があった。
 「手引に基づいて支出していた」。今月、いずれも事務所費への支出を巡る問題が表面化したベテラン議員2人が口をそろえた。長年適正とされてきたはずの支出が、急きょ不正と指摘された両議員の表情には、戸惑いも見え隠れした。
 議員にとって解釈が明確で、県民からの理解も得られる新たな手引の作成が急がれる。行政のチェック役として本来の機能を発揮するためにも不可欠だ。
 「いつまでも政活費の問題に時間を取られたくはない」。県議会棟を歩けば、党派を超えて議員の本音が聞こえてくる。信頼回復への地道な取り組みから目を背けず、腰を据えた真の改革が今こそ求められる。(報道部・大橋大介)

[メモ]政活費は会派を通じて各議員に月額35万円を上限に支給される。県議会は今年9月、政活費支出の透明性を図るため、領収書のインターネット公開を17年度分から実施する方針を決定。18年夏にも閲覧可能となる。使途を巡っては今月、手引運用検討会議を設置。解釈の統一化など見直しを協議する。


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2016年12月28日水曜日


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