宮城のニュース

<汚染廃棄物>一斉焼却棚上げ 安堵と戸惑い

村井知事の一斉焼却の方針に対し、首長から意見が噴出した=27日午後6時ごろ、仙台市青葉区

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物の処理について協議した27日の市町村長会議では、一斉焼却する宮城県の提案が一部の首長の反対で、見送りを余儀なくされた。年明けに実施を予定した試験焼却も宙に浮く形となり、焼却処理を支持した首長からは戸惑いの声も上がった。
 「試験焼却は無理に進めるべきものではない。現時点でやらない方向性が示され、ほっとした」。会議で焼却処理に反対した栗原市の佐藤勇市長は終了後、安堵(あんど)の表情を浮かべた。独自に堆肥化を計画しており、「実証実験で安全性が示されている。事業化への努力を続けたい」と述べた。
 登米市の布施孝尚市長も会議で焼却処理に難色を示した。「市が抱えている廃棄物の大半は濃度が低い。焼却となれば他圏域に協力をお願いすることになる。すき込みなどの研究をしたい」と訴えた。
 「東日本大震災時には県内外の自治体にがれきを受け入れてもらった。今回は放射能濃度が低く焼却に向き合いたい」(菊地啓夫岩沼市長)など賛同する声も多かったが、村井嘉浩知事が掲げた「全会一致」の原則から外れ、焼却処分はいったん棚上げとなった。
 終了後、大崎市の伊藤康志市長は「焼却抜きで、この問題の解決はできない」との考えを示した。
 仙南2市7町でつくる仙南地域広域行政事務組合は、新たに建設した仙南クリーンセンターでの試験焼却受け入れを決めたばかり。センターが立地する角田市の大友喜助市長は「早期解決を願い、試験焼却の実施でまとまった。今後、反対する住民が増え、焼却を進めにくくなるのではないか」と顔を曇らせた。
 会議では、各市町村が土壌へのすき込みや堆肥化を検討する方向性を全首長が確認した。ただ、急な方針転換に対する不満の声も根強い。
 白石市の山田裕一市長は「困惑している。(堆肥化などを)これから研究する市町村は時間がかかるだろう」と首をかしげた。宮城県大和町の浅野元町長も「減容化の協議は十分に行っていない」と述べ、宮城県大郷町の赤間正幸町長は「研究は進めるが、改めて議会や住民への説明が必要となる」と苦しい胸の内を明かした。
 県は半年以内に市町村長会議を開き、あらためて一斉焼却への合意を求める構えだ。宮城県柴田町の滝口茂町長は「保管農家には申し訳ないが、丁寧に説明する時間が取れたとも言える」と前向きに受け止めた。
 仙台市の奥山恵美子市長は「全市町村が意見を交わし、一体となって処理に取り組むスタンスは崩れていない」と強調した。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年12月28日水曜日


先頭に戻る