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<汚染廃棄物>一斉焼却 地域と思惑擦れ違い

35人の首長と村井知事の思惑が交錯した市町村長会議=27日、仙台市青葉区

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物の処理問題で、宮城県が掲げた県内施設での一斉焼却は先送りを余儀なくされた。村井嘉浩知事は「全市町村の合意」を旗印に協力を迫ったが、栗原、登米両市の慎重論を押し切れなかった。地域ごとに異なる事情と、それぞれの思惑が擦れ違いを生んでいる。

 「県内の全自治体で痛みを分かち合うのが今回の提案のポイント。前提を変えることは難しい」。一斉焼却の棚上げが決まった27日の市町村長会議後、報道各社の取材に答えた村井知事は、焼却に賛成する自治体だけでの実施を否定した。

<賛成自治体は落胆>
 会議では住民不安や風評被害への懸念が多く出たが、大半の首長が県の方針に賛同した。試験焼却受け入れを決めた仙南2市7町でつくる仙南地域広域行政事務組合の大友喜助角田市長は「問題解決のため、合意形成を図った頑張りは何だったのか」と落胆した。
 県内にある汚染廃棄物は約3万6000トン。処理するには、1日最大1800トンの焼却処理能力を持つ仙台市の協力が欠かせない。
 自前の廃棄物処理を終えた仙台市にとって、多くの廃棄物を抱える栗原、登米市が焼却に参加しなければ「理解を得るのは難しい」(奥山恵美子仙台市長)というのが実情だ。
 村井知事も「廃棄物を持たない自治体の議会や住民に『なぜうちで燃やすのか』と言われたら反論できない」と、「全員一致」を堅持する意義を強調する。
 一方、栗原、登米両市も、以前から「焼却はしない」と住民に説明してきた経緯がある。村井知事が合意を求めて「ごね得は許さない」などと強硬な発言をしたことも反発を招いた。
 佐藤勇栗原市長は「住民の不安を解消できず慎重にならざるを得ないのに、自治体の状況を分かっていない」と不満を隠さない。市町村長会議では、表向きは賛同したが「他から反対が出れば同調する」と胸に秘めていた首長もいた。

<「今後が見えない」> 
 一方、東日本大震災で被災した沿岸部からは「大量の震災がれきを他県で受け入れてもらい処理が加速した。空間線量の測定や風評被害を補償する仕組みなどを整備することで、住民の安心につながる」(須田善明女川町長)と焼却推進を求める意見も相次いだ。
 県は市町村による廃棄物の土壌へのすき込みや堆肥化の検討状況を見ながら、半年以内に再び一斉焼却を提案する。「試験焼却を進める方針を、知事自身が会議で無理と判断した。今後どう進めるかが見えなくなった」(山田裕一白石市長)との戸惑う声もあり、受け入れへの環境が整うかどうかは不透明だ。


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2016年12月29日木曜日


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