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復興途上の街に老舗酒店再開 5年9カ月ぶり

昔なじみの客たちと近況を語り合う菅原さん(左端)=27日、気仙沼市鹿折
店の2階のミニホールとピアノ。「にぎわいあるサロンにしたい」と菅原さん

 東日本大震災で街が失われた気仙沼市鹿折で今月、3年後に創業100年となる「すがとよ酒店」が営業を再開した。周囲は復興途上でつち音が続いているものの、昔なじみの客たちが年越しの買い物に訪れ、店のにぎわいが戻りつつある。店主の菅原文子さん(67)はピアノがあるミニホールも設け、「鹿折に人が集える場所に」と夢見る。
 すがとよ酒店は旧かもめ通り商店街にあり、津波で全壊。菅原さんは夫豊和さん=当時(62)=と義父母の豊太郎さん=同(91)=、のり子さん=同(89)=を失った。同市魚町で仮店舗を営みながら鹿折での再建を誓い、グループ化補助金を活用して5年9カ月ぶりに開店させた。
 「酒 すがとよ」。津波で唯一残った緑色の看板が蔵造り風の新店舗の前に置かれた。菅原さんは約100平方メートルの店内を花で飾り、地酒などを得意の墨書で紹介する札を添えた。早速、贈答品の発送や来月2日の初売りの福袋作りに忙しい。
 「お帰り、おめでとう」「元気?」。昔なじみの客が相次いで訪れ、年越しの買い物をしながら近況を語り合う。隣に長男豊樹さん(42)が経営するコンビニも建ち、復興土地区画整理事業が続く土色の古里に人の動きが生まれてきた。
 近くに8棟の災害公営住宅も完成。被災して鹿折を離れた人が入居し、来店して「お互い、やっと戻って来られた」と涙ながらに再会を喜んだという。
 「ゆかりの人、新しい人が集える場を鹿折につくりたい」。そんな思いで、2階にミニホールを造り、新しいピアノを置いた。被災地を支援するピアニスト小原孝さん(川崎市)と出会い、その縁で贈られたピアノだ。22日に小原さんが店を訪れ、弾き初めをした。
 2月には、新酒を楽しむ会をミニホールで催す。「ピアノを囲むサロンにしたい。夫もにぎやかなことが好きだった」と菅原さん。鹿折での新年に期待する。


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2016年12月29日木曜日


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