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<東北学院大>キャンパス集約で空洞化懸念

約6000人が通っている泉キャンパス
多賀城市中心部に位置する多賀城キャンパス

 学校法人東北学院(仙台市青葉区)が、2021年を目標に旧仙台市立病院跡地(若林区)に東北学院大のキャンパスを集約する計画を巡り、泉区や多賀城市にある同大キャンパス周辺で動揺が広がる。集約後の既存キャンパスの存廃について東北学院は「何も決まっていない」と話すが、両キャンパスの地元では、学生流出を懸念する声が出ている。(泉支局・北條哲広、多賀城支局・佐藤素子)

 「キャンパス集約のうわさは東日本大震災前からあったので既定路線だろう。今後、街の空洞化が気になる」と話すのは泉区の不動産会社の担当者。同社は泉区天神沢に泉キャンパスが開設された1988年ごろから学生向けの賃貸アパートを仲介しており、「完全撤退となれば死活問題につながりかねない」という。
 泉キャンパスは、教職員を含め約6000人を抱える。周辺はアパートや飲食店、カラオケ店やコンビニなどが建ち並び、大学の門前町を形成している。
 大学近くで飲食店を営む男性は「この辺りは学生アルバイトに支えられている店が多い。学生がいなくなると労働力の確保が難しい」と不安がる。仙台市地下鉄泉中央駅近くの飲食店従業員も「客であり、従業員でもある学生の存在は大きい。キャンパスの閉鎖、縮小となれば、影響は避けられない」と懸念する。
 工学部がある多賀城市中心部の多賀城キャンパスには約2200人が通う。市と同大は2007年、包括連携協定を締結。大学の資源を生かした市民向け公開講座や長期休暇を利用した小中学生の学習支援などを展開している。キャンパス移転で継続を危ぶむ声もあり、市幹部は「街から若者がいなくなる影響は計り知れない」と心配する。
 ただ、泉キャンパスと事情が異なるのが、学生の多くがJR仙石線を使う通学組で、地元に学生向け賃貸アパートが多くないこと。人員規模が泉キャンパスの約3分の1と小さいこともあってか、キャンパス閉鎖と売却による開発可能用地の出現に期待を寄せる声も出ている。
 地元商工会関係者は「にぎわい創出につながる活用をしてほしい」とひそかに願う。学生流出のマイナスを上回る住宅開発などによる定住人口増を望む気運が一部で高まっている。
 東北学院広報部は「キャンパス集約は学習の場をまとめる計画であり、現段階で既存キャンパスの存廃までは決まっていない」と説明。「計画については地元や仙台市とも連携しながら進めたい」としている。

[メモ] 泉キャンパス(約27.6ヘクタール)は教養学部の1〜4年生と文、経済、経営、法の4学部の1、2年生合わせて約5600人が在籍。大学院生や教職員を含めると6000人規模。多賀城キャンパス(約15.1ヘクタール)は工学部の学生と大学院生約2100人、教職員約110人が在籍する。東北学院によると、旧仙台市立病院跡地に整備する都市型キャンパスにはホール棟、講義棟、高層棟(地上19階)、研究棟、カフェ棟の計5棟を建設。建築面積約8870平方メートル、延べ床面積約5万8730平方メートル。


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2016年12月29日木曜日


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