宮城のニュース

<震災遺構>気仙沼向洋高 保存範囲を拡大

震災遺構としての保存範囲が拡大される気仙沼向洋高の旧校舎

 気仙沼市は東日本大震災の震災遺構となる気仙沼向洋高旧校舎の保存範囲を見直す方針を決めた。保存対象とした南校舎だけでなく、解体を予定していた北校舎を含めてほぼ校舎全体を残す。一般公開で旧校舎を見学した人たちの声を受け、震災当時の姿をできるだけ残すことが津波伝承に必要と判断した。
 市は27日、県が実施している南校舎を除く旧校舎解体工事の入札を中止するよう要望した。県は参加業者に中止を通知する。
 新たな保存範囲は、最上階の4階まで浸水した南校舎のほか、教職員ら約50人が震災当夜を過ごした北校舎、総合実習棟、体育館、生徒会館など。プール跡や北、南校舎に挟まれた家庭科実習棟は解体を検討し、工期は今後詰める。
 旧校舎は3日に初めて一般公開された。見学者136人は市外からの来訪が約7割を占めたほか、参加者へのアンケートでは「そのままの状態」の保存を望む意見が大半を占め、市に方針転換を決断させた。
 菅原茂市長は「見学者らの声に背中を押された。津波の恐ろしさの伝承と防災教育のため、より価値ある状態で残す」と説明した。
 市が2015年5月に保存範囲を南校舎のみと決めたのは、国の復興交付金の活用が認められない維持費を抑える目的だった。市は南校舎に内部公開する見学路を整備するが、他の校舎はそのまま残して維持費を抑える方針。地元住民にも説明する。
 市は校舎のそばに展示施設も整備し、18年度中の開館を目指す。気仙沼向洋高の生徒は仮設校舎で学んでおり、新校舎の利用開始は18年4月を予定する。

[気仙沼向洋高旧校舎] 海岸近くの気仙沼市波路上瀬向に77年から立地した県立高の校舎。東日本大震災の津波で校舎4階まで浸水し、学校にいた生徒約170人は内陸に避難、校舎に残った教員ら約50人も翌日救助された。市震災遺構検討会議が15年4月に保存を求める報告書を市に提出し、市が翌月、国の復興交付金を使って南校舎を保存整備すると決めていた。


関連ページ: 宮城 社会

2016年12月29日木曜日


先頭に戻る