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<三陸沿岸道>代替可能な道路網重要

応急復旧工事が完了し、通行を再開した国道455号。大動脈の整備を見据えた道路網の再構築が求められる=9月12日、岩手県岩泉町二升石

◎岩手復興 大動脈北へ(21)補完強化

 8月の台風10号は、岩手県を襲った豪雨としては過去最大の被害となった。災害に強い交通ネットワークの構築は教訓の一つだ。

<想定超えた被害>
 県が管理する国道と県道は、最大で47路線78区間が全面通行止めとなった。区間数は東日本大震災の際の68区間を上回った。
 県道路環境課の千葉行有総括課長は「川の近くを通る道路は多いが、護岸整備はしていた。正直、これほど被害が拡大するとは考えられなかった」と振り返る。川の水量が一気に増え、護岸ごと道路がえぐり取られる被害が相次いだ。
 台風など予測できる災害では、車両が被害に遭わないよう事前に道路を通行止めとするケースがある。国道106号や455号は地域を通る唯一の幹線道路のため、この対象にはならず、立ち往生してしまう車が相次いだ。
 県は被害が大きかった宮古市、久慈市、岩泉町と内陸を結ぶ国道106号、281号、455号の各路線について、2018年度までの本格復旧を図る。3路線はいずれも、災害時に支援物資の運搬などに活用する緊急輸送道路。斜面の崩落防止など対策を急ぐ。

<「防災面重視を」>
 国が整備を手掛け、順次開通する三陸沿岸道路や宮古盛岡横断道路、東北横断道路釜石秋田線の3路線と、県管理道路をいかに連動させるかも災害に強いネットワーク構築の鍵だ。
 県は震災後、三陸沿岸道路などの建設決定を受け、内陸と沿岸を結ぶ国道や県道計33路線を復興支援道路や復興関連道路と位置付けた。道幅拡大やトンネル整備を進め、災害時に相互補完できる道路網を目指す。
 県道路建設課の遠藤昭人総括課長は「台風10号災害で道路網強化の重要性は増した。平時には移動時間の短縮で利便性が向上するよう整備したい」と話す。
 震災では沿岸部を縦断する国道45号が被災。リダンダンシー(代替路線)確保の重要性が注目され、三陸沿岸道路など高規格道路の早期整備につながった。
 台風10号豪雨では、震災後に一部区間が開通した東北横断道路釜石秋田線が効果を発揮した。その中の遠野市と釜石市にまたがる仙人峠道路は一時通行止めとなったが、台風上陸当日の8月30日夜には通行を再開した。
 東北地方整備局三陸国道事務所の調査によると、8月31日〜9月6日の仙人峠道路の1日当たり交通量は約1万1500台で、台風前の1.6倍に達した。寸断された国道に代わり、内陸と沿岸を直結する大動脈になった。
 筑波大社会工学域の石田東生(はるお)教授(社会資本政策)は「道路寸断で生活に不安を感じた住民は多いだろう。防災面の不安は地方の人口減少にボディーブローのように影響する。道路整備の基準になる事業評価の段階で、防災面の効果をもっと重視すべきだ」と話す。


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2016年12月29日木曜日


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