広域のニュース

<東北10大ニュース>猛威、おごり、躍動

小本川沿いに立地する「楽ん楽ん」(中央付近の平屋の建物)。上流(上)からの濁流に襲われた=8月31日、岩手県岩泉町

 河北新報社は2016年の「東北十大ニュース」を選んだ。自然災害の恐ろしさを改めて突き付け、命を守るための行動と責任の重みを問い掛ける二つのニュースがトップ2となった。1位は台風10号の豪雨被害。岩手県岩泉町のグループホームでは入所者9人が命を落とした。2位は東日本大震災で多くの児童が犠牲になった石巻市大川小の訴訟判決。仙台地裁は学校の責任を認めた。リオデジャネイロ五輪でのタカマツペアら東北ゆかりの選手の活躍、参院選で東北は与党が惨敗したこと、政務活動費問題による宮城県議会議長の相次ぐ辞任−などが上位に入った。

(1)台風10号豪雨20人犠牲

 8月30日、東北の太平洋側に初めて直接上陸した台風10号は岩手県に深い爪痕を残した。県内では河川氾濫で20人が死亡、3人が行方不明となっている。被害が集中した岩泉町では高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の入所者9人が亡くなった。12月15日現在、概算被害額は1450億円、住宅被害は4342戸に上る。
 町は全域に避難勧告や指示を出せず、危機管理の甘さが浮き彫りになった。避難が遅れ犠牲者が出たことを踏まえ、政府は「避難準備情報」の名称を変更した。県は氾濫した同町の小本川など7河川で改修を急ぐ。

(2)大川小訴訟で遺族勝訴

 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は10月26日、「教員らは大津波の襲来を予見でき、裏山に児童を避難させるべきだった」と学校の責任を認め、計約14億2660万円の支払いを命じた。
 市と県は「津波は予見できず、裏山に全員が無事避難できたとは思えない」として控訴。遺族も「悲劇を繰り返さぬよう、学校防災の基準となる判決を求める」と控訴を決めた。審理は仙台高裁に移る。

(3)リオで東北勢快挙

 8月のリオデジャネイロ五輪で東北関係選手が躍動した。レスリング女子で伊調馨選手(八戸市出身)が4連覇を果たした。バドミントン女子ダブルスは高橋礼華、松友美佐紀両選手(日本ユニシス、宮城・聖ウルスラ学院英智高出)のペアが世界の頂点に立った。
 卓球は女子団体で福原愛選手(仙台市出身)が銅メダルを手にし、男子は青森山田高が母校の水谷隼、丹羽孝希両選手らの活躍で団体準優勝に輝いた。水谷選手はシングルスでも銅メダル。レスリング男子では太田忍選手(青森県五戸町出身)が銀メダルを獲得した。

(4)参院選与党惨敗1議席

 第24回参院選(7月10日投開票)は与党が改選過半数の61を大きく上回る議席を獲得し、改憲勢力が発議可能な3分の2を占めた。ところが東北6選挙区は自民が1勝5敗で惨敗した。
 東北は宮城、福島で改選数が2から1に減る中、民進、共産、生活(現自由)、社民の野党が共闘を組み、全選挙区で統一候補を擁立。経済政策「アベノミクス」などへの批判を展開し、改選前勢力を2議席上回る5議席を獲得した。
 「18歳選挙権」が国政選挙で初適用された。投票率は東北全選挙区で前回(2013年)を上回った。

(5)宮城県議会議長辞任続く

 政務活動費(政活費)の不正問題を巡り、宮城県議会では、ともに自民党・県民会議に所属する安部孝元議長(61)=5期、宮城選挙区=、中山耕一前議長(60)=4期、富谷・黒川同=が2代続けて引責辞任する異例の事態となった。
 安部氏は事務所費の不正支出などで仙台市民オンブズマンから3度にわたり監査請求され、詐欺の疑いで仙台地検に告発された。6月15日に議長を辞任した。
 中山氏は、マッサージチェアの領収書や運転代行業者から入手した白紙領収書を利用した不正受給が発覚。11月25日に議長職を退いた。

(6)北海道新幹線が開業

 新青森−新函館北斗間(約149キロ)を結ぶ北海道新幹線が3月26日に開業した。1973年の整備計画決定から43年を経て、北海道から九州までが新幹線でつながった。
 仙台−新函館北斗間を最短2時間半で結ぶ。開業後半年間の平均乗車率は39%。当初の想定を上回っており、乗客数は順調に推移している。宮城や岩手から函館を訪れる観光客が大幅に増加しているのも特徴だ。
 青函圏の交流促進を目指して官民さまざまな組織が設立されている。二つの地域のつながりは今後ますます強まりそうだ。

(7)常磐線相馬−浜吉田間再開

 東日本大震災で被災したJR常磐線相馬(相馬市)−浜吉田(宮城県亘理町)間が12月10日、運行を再開した。震災から5年9カ月を経て、宮城と福島の沿岸を結ぶ鉄路が復旧した。
 再開区間は23.2キロ。津波で大きな被害を受けた駒ケ嶺(福島県新地町)から浜吉田の線路14.6キロと新地(同)、坂元(宮城県山元町)、山下(同)の3駅を、内陸に最大1.1キロ移設した。
 3駅の周辺では宅地整備や公営住宅建設など新市街地の開発が進んでいる。鉄路の再開で地域再生に弾みがつくことが期待される。

(8)4年ぶりの津波警報

 11月22日午前5時59分ごろ、福島県沖が震源のマグニチュード(M)7.4の地震が発生した。福島、茨城、栃木の3県で震度5弱、仙台などで震度4の揺れがあり、4年ぶりの津波警報が宮城、福島沿岸に出た。仙台港で東日本大震災後最大の144センチを記録するなど各地で津波を観測した。震災の余震とみられる。
 避難者は東日本沿岸で一時約1万人に上った。避難する車の渋滞も宮城、福島などで発生。渋滞で身動きがとれない状況に陥り、車ごと津波の犠牲になった震災の教訓が生かされていないことを浮き彫りにした。

(9)ボート会場長沼案断念

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費削減を目的に、東京都の調査チームが9月29日、3競技会場の見直しを提言した。ボート、カヌー・スプリント会場を宮城県長沼ボート場(登米市)に変更する案が浮上した。
 小池百合子都知事は現地を視察し、東日本大震災からの復興をアピールする必要性を強調。宮城県の村井嘉浩知事も会場整備費に震災復興基金を活用する方針を示すなど歓迎した。しかし遠隔開催を望まない競技団体などの反対に押され、都は長沼案を断念。3会場とも元の計画地に戻った。

(10)仙台空港が完全民営化

 仙台空港が7月1日、国が管理する空港としては全国で初めて完全民営化した。東急電鉄など7社が設立した民間会社「仙台国際空港」(名取市)による運営で、「東北のゲートウエー」を目指してネットワーク拡充に取り組んでいる。
 空港ターミナルビルの利便性や魅力を高めるため、12月から改修工事が始まった。1階に総合案内所やカフェなどを新設する。宮城県は就航本数の増加を目指して運用時間(午前7時半〜午後9時半)の延長を見据えた本格的な調査に乗り出した。24時間化も視野に入れている。

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(11)クマ襲撃か、鹿角市で死者相次ぐ(12)仙台でG7財務相・中央銀行総裁会議を開催(13)福島県葛尾村の避難指示解除。川内村と南相馬市の一部に出ていた避難指示も解除(14)青森で東北町の中1男子、青森市の中2女子と自殺相次ぐ(15)西武の岸投手の東北楽天移籍が決まる(16)富谷市誕生(17)石巻の男女3人殺傷事件で死刑確定(18)野蒜小の津波犠牲、仙台地裁が東松島市に賠償命令(19)凍土遮水壁、凍結を開始(20)青森の農場で鳥インフルエンザを確認し殺処分。東北各地に鳥インフルエンザ広がる


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2016年12月29日木曜日


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