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<汚染廃棄物>栗原市が堆肥化に照準

環境省の担当者らも出席した一斉焼却に関する説明会=9日、栗原市

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質に汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理を巡り、宮城県栗原市は堆肥化に向けた議論を年明けに加速させる。同市では、国の基準を超える指定廃棄物の最終処分場建設候補地になって以降、環境省が地元説明の際に不明瞭な選定根拠を示したことなどに対する不信感が根強く残る。27日の市町村長会議で市が県の一斉焼却方針をはねつけた遠因には「国や県に任せてはいられない」といういら立ちがある。(栗原支局・土屋聡史)
 「国はこれまで、市民の不信感を増幅させてきた。その結果が、今になって響いている」。汚染牧草を抱える60代の農業男性は、一斉焼却の棚上げが決まった市町村長会議の報道を受けて、こう話した。
 環境省は2014年1月、指定廃棄物の県内の最終処分場候補地として、栗原市と加美町、大和町を選んだ。この際、同省は選定した根拠となる地形図を市に提出した。
 だがこの図は市が甚大な被害に見舞われた岩手・宮城内陸地震(08年)より30年近く前の図を、デジタル処理しただけの内容。大地震の崩落地などは反映されておらず、処分場候補地の選定基準を判断する前提条件を欠いた資料だった。
 さらに現地調査については住民の反対に押され、2年続けて断念。16年に入ってから、議論は実質、棚上げとなり、環境省の主体性のなさを露呈した。
 佐藤勇市長は「汚染廃棄物問題を国に任せていたら、らちが明かないと思い、市独自の処理法を模索し始めた」と、主体的に関わり始めた理由を語る。
 堆肥化の活用に向けた実験を進めてきた市は11月、製造した堆肥を使って育てた植物に放射性物質が移行しなかったとする調査結果を公表。市議会12月定例会では堆肥の販路などへの不安から調査費計上は見送られたものの、市は活用案を説明するなどした上で再提案する方針だ。
 ある市幹部は「『たられば』の話だが、環境省がリーダーシップを取ってもっとうまくやっていれば、違う道筋があったのかもしれない」と漏らした。


2016年12月30日金曜日


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