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<原発事故>埋めた家畜10万ようやく処理へ

家畜が埋められた場所を確認する環境省の職員ら=福島県富岡町本岡

 環境省と福島県は本年度内にも、東京電力福島第1原発事故後に殺処分して埋められた家畜の処理に着手する。住民避難に伴って埋却された場所は計約110カ所に上る。避難指示解除を控える地元自治体や農家が求めていた早期掘り起こしに、ようやく対応する形だ。
 環境省などによると、処理するのは、双葉郡など第1原発半径20キロ圏の旧警戒区域内に埋められた牛約2900頭、豚約1万6000頭、鶏約8万羽。
 いずれも原発事故後、筋弛緩(しかん)剤で安楽死させたり餓死するなどした家畜で、応急措置として牧草地や水田の地中1〜2メートルに埋却された。避難のため畜産農家が置き去りにせざるを得なくなり、政府が2011年5月、殺処分を県に指示していた。
 計画では、重機で掘り起こして土のう袋などに入れ、臭気と水分対策としておがくずを混ぜて運搬。各地域の仮設焼却施設で処理する。
 関係自治体のうち、富岡町は17年4月の住民帰還開始を目指す。このため環境省は16年度中の焼却処理を目指す。それ以外も地権者や自治体と調整を進めており、同意が得られれば早急に着手する。
 環境省と県は16年10月、処理方針を決定。11月末には富岡町の地権者向け説明会を開き、現地確認をした。参加した同町本岡の横田貢一さん(52)の牧草地には25頭の牛が埋められた。
 横田さんは「家族同然の愛情を注いでいたのに、突然殺処分された。慰霊碑が建てられ、幾分気持ちは落ち着いたが営農再開へ踏み出すためにも早く処理してもらいたい」と話す。
 国の対応の遅れに、不満を募らせる畜産農家も。同町の町政懇談会では「イノシシの被害を受けてあちこちに牛の骨が散らばり、あまりに無残だ。泣く泣く殺処分した農家の気持ちを分かっていない」などと国を批判する声が出た。
 これまで処理に着手できなかった理由について、環境省の担当者は「国と県で課題整理や役割分担の協議をしていて遅くなってしまった」と説明している。


2016年12月30日金曜日


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