秋田のニュース

<ここにもレガシー>りりしく優しく

りんとした顔つきや三角形の耳などの特徴がある秋田犬。大館市では年々飼う人が減っているという
JR大館駅で飛鳥(左)とあこと触れ合ったり記念写真を撮ったりする家族連れ。2匹は3月末までの土日と祝日に観光客らを出迎える

 遺産(レガシー)。それは先人からの贈り物であり、現代を生きる私たちから未来の人々へのメッセージだ。有形、無形を問わず内容は多岐にわたる。新たな年の始まりに、東北各県に数多くある遺産の一端を再認識してみよう。

◎2017東北から未来へ(2)秋田県・国の天然記念物 秋田犬

 しんしんと雪が降る中、大館市内を飼い主と散歩する秋田犬。りんとした顔つきには、大型犬独特の威厳が漂う。
 「でも、飼い主には忠実。普段はおとなしいし、優しい」。秋田犬保存会の富樫安民副会長(72)=大館市=は、そう魅力を語る。

<誘客に一役買う>
 秋田犬は秋田県北地方が発祥とされ、中でも大館市は忠犬ハチ公の古里として知られる。近年は海外での人気も高いことから、市は「秋田犬にいつでも会えるまちづくり」を掲げて観光客誘致に力を入れる。
 昨年9月に飼い始めた2匹の子犬もその事業の一環だ。虎毛の「飛鳥」と赤毛の「あこ」の双子の姉妹。市が公募した地域おこし協力隊「秋田犬ふれあい隊」の女性4人が世話をし、成長する様子を撮影した写真を会員制交流サイト(SNS)で公開している。
 福岡市からふれあい隊に応募した西山奈見さん(34)は「フォロワー(読者)も徐々に増え、手応えを感じている」と話す。
 2匹は昨年12月初め、JR大館駅で観光客らの出迎えを始めた。下旬に訪れると、家族連れが「本物の秋田犬だ」「毛がもふもふしている」などと言いながら楽しそうに触れ合っていた。
 大館市は2019年春をめどに、秋田犬と触れ合える展示施設「ハチの駅(仮称)」を大館駅前に建設する構想も抱く。
 秋田犬の歴史は、江戸時代初期の寛永年間(1624〜44年)にさかのぼる。闘犬を目的に、マタギの猟犬と他の犬との交配で生まれたとされる。

<血統保存が課題>
 明治期には闘犬人気が過熱し、他の犬種と交配した雑種が増えた。危機感を抱いた当時の大館町長が1927(昭和2)年に秋田犬保存会を設立。31年に日本犬として初めて国の天然記念物になり、34年には犬籍登録が始まった。太平洋戦争中に食糧難と毛皮の供出で激減し、45年の終戦直後に残ったのはわずか数十匹だった。
 その後、関係者の努力で数は増えたものの、年間の犬籍登録は72(昭和47)年の4万6225匹をピークに減少傾向が続く。
 一方で、海外からの犬籍登録はこの10年で急増した。映画「ハチ公物語」(1987年)をリメークした米映画「HACHI 約束の犬」(2009年)で、その存在が海外でも知られるようになったためだ。海外からの犬籍登録は2007年の28匹から15年は1267匹に増加。16年は10月末時点で国内の2224匹に対して3247匹と、初めて国内を上回る見込みだ。
 ただ、15年に中国で偽の血統書が見つかるなど、血統を守っていく上で新たな課題も出てきた。
 保存会は対策として、海外から子犬を犬籍登録する際、保証人に加え、交尾や授乳の写真の添付を義務付けている。
 富樫さんは「海外で愛されるのはいいことだが、秋田犬の姿や性格を守り続けていくためには、対策を徹底していく必要がある」と語る。(秋田総局・藤沢和久)


関連ページ: 秋田 社会

2017年01月03日火曜日


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