福島のニュース

<葛尾村>6年ぶり地元で成人式

集まった新成人の仲間たちと話す松本さん(左端)。古里の教壇に立つ日を思い描く=2日午前、福島県葛尾村

 東京電力福島第1原発事故で一時全村避難となった福島県葛尾村で2日、成人式があった。地元での開催は事故前の2011年以来6年ぶり。新成人代表として壇上に立った松本拓朗さん(20)は「復興の力になりたい」と強調。避難生活で出会った恩師を理想に「(古里で)教師になる」と夢の実現を誓った。
 村民会館であった式には、原発事故時に中学2年だった新成人13人のうち11人が出席。いずれも避難先や進学先から参加した。
 昨年までは役場機能を移していた福島県三春町で開かれていた。帰還困難区域を除いて避難指示が昨年6月に解除され、村内での再開となった。式典で篠木弘村長は「本格的な復興へ、これからが正念場。後押ししてほしい」と期待した。

 代表として決意を述べた松本さんは原発事故まで、村内の一軒家に両親、祖父母、弟妹の7人で暮らしていた。事故後は福島県会津坂下町や新潟県内を転々とした。
 その後、転校先となった会津若松市の中学校で担任の男性教諭と出会ったことが今につながった。小学1年から続けてきた剣道の部活顧問も務めていた。
 「避難者だからと特別扱いはせず、周囲と平等に自然体で接してくれた。うれしかった。先生のおかげで学校に溶け込めた」
 だからこそ、恩師の姿を追い掛ける。目標は中学校の保健体育教諭。現在は東京都内で1人暮らしをしながら日本大文理学部体育学科の教職コースで学び、剣道部にも所属する。
 「剣道は嫌なことを忘れさせてくれる。多くの人とも出会えた。勝利の喜びを伝えたい」と生徒たちを指導する日を思い描く。
 祖父母らは昨年、6年ぶりに地元でコメづくりを再開した。家族で食べた新米は格別で「自然豊かな葛尾はやっぱり落ち着く」と古里の良さをかみしめた。
 「復興には若い世代の力も必要。自分を救ってくれた先生のように、悩みや不安を抱える子どもの力になりたい」。古里の教壇に立つ日を強く望む。


2017年01月03日火曜日


先頭に戻る