青森のニュース

<ここにもレガシー>一獲千金 夢運ぶ

過去最高値となる1億5540万円で競り落とされた大間産クロマグロ=2013年1月5日、東京・築地
大間産のマグロを使った特上本マグロ丼=青森県大間町の浜寿司

 遺産(レガシー)。それは先人からの贈り物であり、現代を生きる私たちから未来の人々へのメッセージだ。有形、無形を問わず内容は多岐にわたる。新たな年の始まりに、東北各県に数多くある遺産の一端を再認識してみよう。

◎2017東北から未来へ(4)青森県大間町 大間のマグロ

 寒風吹きすさぶ津軽海峡の水面(みなも)に黒い魚体、クロマグロが跳ねる。
 海峡に面した青森県大間町で「海のダイヤモンド」とも称され、下北半島にある本州最北の町の知名度を全国区にした地域の宝だ。

<日本代表する味>
 「味も価格も日本一。どこのマグロよりもおいしい」
 大間町で創業52年の浜寿司(ずし)2代目の伊藤晶人さん(52)が太鼓判を押す。
 伊藤さんによると、大間のマグロは身に弾力があり、臭みが全くない。脂はくどくなく、すっきりしていて、シャリの隙間を通り抜けるように口の中で溶ける。
 抜群の味が評判を呼び、「大間産」は日本を代表するマグロブランドになった。ブランドを不動にしたのが2001年の東京・築地での初競りだ。それまで1匹数百万円程度だったが一気に値を上げ、2020万円を記録。13年には222キロの大間産クロマグロに1億5540万円の値が付いた。
 津軽海峡で取れるクロマグロは、主に初秋から冬にかけ東シナ海から日本海側と太平洋側の2ルートで北上してくる。水温が下がる時期にかけてイカやサンマを大量に食べることで、脂の乗りが良くなる。
 ところが、冬の津軽海峡はしける日が多い。漁に出られる日が少ないことと需要のピーク、正月のご祝儀相場が相まって、マグロは大間漁師にとって、一獲千金の夢をかなえる魚となった。

<資源枯渇を懸念>
 2020万円のマグロを釣り上げた竹内薫さん(66)は「マグロは魚の中で一番大きい。魅力は釣った人にしか分からない。そして何よりも運」と語る。かつて船上で火事を起こして船を失った地獄からはい上がる、起死回生の一発だった。
 大間漁協所属のマグロ漁船は約150隻。うち約90隻が一本釣りで、残りがはえ縄船だ。昼間は一本釣り船が、夜ははえ縄船が海峡で夢を追う。
 地元漁師らによると、大間のマグロ漁は1950年代に始まったが、70年代半ばから90年代前半は全く釣れなくなった。だが、それ以降は再び釣れるようになり、漁が盛んになった。因果関係は不明だが、青函トンネルの工事期間と不漁期間が重なることを挙げる漁師は多い。
 いったんは復活したマグロ漁に、近年は世界的な乱獲や自然環境変化が原因とみられる漁獲量の減少傾向が出始めている。2007年の310トンをピークに15年は218トン、16年は11月末までで138トンとなっている。
 漁協の理事も務める竹内さんは「自然を人間が変えてはいけない。最大消費地でもある中央の人たちが産地のことを考えて資源を守らないと、大間のマグロ漁が死んでしまう」と警鐘を鳴らす。(むつ支局・勅使河原奨治)


関連ページ: 青森 社会

2017年01月05日木曜日


先頭に戻る