山形のニュース

<山形知事選>共生重視 県民に共感

河村和徳(かわむら・かずのり)慶応大大学院法学研究科博士課程を単位取得退学。慶大講師、金沢大助教授を経て04年から現職。専門は政治過程論、地方政治論。静岡県焼津市出身。45歳。

 5日告示された山形県知事選は、吉村美栄子氏が2013年に続き2回連続無投票で3選を決めた。昨夏の参院選山形選挙区を調査した東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)に、背景や県政運営への影響を聞いた。

◎東北大大学院准教授 河村和徳氏に聞く

 −知事選の連続無投票は全国でも珍しい。
 「自民党は県議の7割と衆院小選挙区全ての議席を有する。一国一城のあるじが多い分、県全体がまとまらず野党系の吉村氏に対抗馬を出せなかった。身内で戦った衆院中選挙区時代のように調整力のある国会議員がいない影響も大きい。党本部も現職で構わないのだろう。推した候補が負ければ全国ニュースだが、無投票なら負けた事実は残らず、国政に影響がない」
 「自民党寄りの県政誕生を阻止するため、共産党は本来、自民党が候補者を立てれば対抗馬を出す。吉村氏は野党系で政策も近い。第2希望で出馬を見送る戦略が取りやすい。無投票の条件がそろっている」

 −吉村氏の人気をどう見る。
 「山形は村山、置賜、最上、庄内の四つの地域割拠主義だ。吉村氏の政策は地域や産業のバランスを取る。競争より共生を重んじ、県民が志向するリーダー像に当てはまる。政治的カラーを前面に出さないので、首長も手を組みやすい」
 「女性で、広く女性の支持を得ている点も強さの源だ。里山の出身で、母、嫁などの顔を持つほか、かぶり物をする愛嬌(あいきょう)もある。農林水産業や観光など元々ある資源を大事にし、子育て、環境の話が得意。女性の共感を得やすい」

 −連続無投票の弊害は。
 「問題は多い。まず選挙公報が2回出なかった。有権者は候補者の主張を確認する機会を続けて失い、約束を守る守らない以前の段階で選挙が終わった。一方、当選者は民意をどれだけ背負っているか分からないまま、県政を8年も運営することになる。選挙公約が広く伝わらないため、選挙後に自由に振る舞うこともできる」

 −県政運営への影響は。
 「財源が限られる中、今後は政策に優先順位を付ける必要に迫られる。仙山連携や東北中央道でつながる福島との連携も大きな課題。バランス感覚だけで対処し切れない政策課題の合意形成に苦労するだろう。無投票当選の知事の発言は、選挙を勝ち抜いた知事に比べ説得力が乏しいからだ」
 「3期目の知事は経験を積み最強の状態になる。これに対し、県議会でチェック機能を担う自民は有権者に選ぶ自由を与えられず、多様な民意も拾えなかった。県政運営に問題が起きた際、追及に迫力を欠き、政治不信を招く可能性がある」


関連ページ: 山形 政治・行政

2017年01月06日金曜日


先頭に戻る