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<杜の都のチャレン人>魅力際立つ働き方を

作品と向き合う草刈さん。集中力は昔からあるほうだ=仙台市青葉区

◎多様な雇用形態のジュエリー工房を営む 草刈美智子さん(34)

 定禅寺通(仙台市青葉区)のケヤキ並木が映えるビルの3階。イヤリングやネックレス、ピアスといった天然石ジュエリーが色合い豊かに並ぶ。「オーダーメイドジュエリー工房リパッティ」の代表としてスタッフ8人を率いる。
 職場には子育て真っただ中の母親が多い。規定を決め、子連れ出勤はオーケー。勤務時間も皆違う。自身も妊娠で仕事を失った経験があり、個人のライフスタイルと矛盾しない雇用に意を注ぐ。
 2011年の東日本大震災時は東京で暮らしていた。「当時0歳の娘を育てるのに精いっぱい。古里の惨事を前に、もどかしさだけが募りました」。好きな文章表現でせめて役立ちたいと、忙しくても手軽に作れる料理のレシピをウェブに日々投稿した。閲覧者は1年で1000人を超えた。内職を始めるきっかけだった。
 12年春、古里に戻って内職の手作り品をウェブで販売するようになった。反応が良かったのがジュエリーのアクセサリー。失業保険が切れる半年後までに、月間売り上げ10万円を目指した。「駄目だったら外で働こう」と自分に言い聞かせて退路を断った。目標を達成し、13年春、起業にこぎ着けた。
 スタートは1人だった。制作に打ち込み、最長で1日18時間を費やした。両手がけんしょう炎になり、周囲のママ友たちに助けを求めた。「抱え込まず、困ったら誰かに頼ればいいのだと思い至りました」。それぞれができる範囲で力を合わせ、なりわいを成り立たせるスタイルが生まれた。
 工房は毎日一つ、新作を世に送り出す。シンプルなデザインで価格は手ごろ。「Tシャツでも様になり、帰宅した後も外し忘れるような作品を届けたいのです」
 作品一つ一つに女性の名前を付け、オリジナルの女性像を表現している。みんな違うから固有の魅力が引き立つ。働き方もそうありたい−。広瀬川そばの工房に吹く風は軽やかだ。(志)

<くさかり・みちこ>82年塩釜市生まれ。早稲田大第一文学部卒。企業勤務を経て、13年仙台市に工房設立。名称はルーマニアのピアニストに由来。16年女性起業家大賞のスタートアップ部門で特別賞受賞。仙台市青葉区在住。


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2017年01月07日土曜日


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