山形のニュース

<山形知事3期目>外国人向けに魅力創出

県の誘客事業の一環で、山形市の蔵王温泉スキー場で撮影を行う台湾の旅番組の関係者ら=2016年12月

 任期満了に伴う山形県知事選は、無所属現職の吉村美栄子氏(65)が2回連続の無投票で3選を決めた。知事選で掲げたキャッチフレーズは「チャレンジ!やまがた創生」。再び県政のかじ取りを託された吉村氏は、人口減少対策や地域経済の活性化を進め、期待通りの成果を上げることができるのか。3期目に待ち受ける課題を探る。

◎吉村県政3期目の課題(上)観光立県

<宿泊者数は41位>
 「観光立県山形」。吉村氏が掲げる重要施策の一つだ。
 「(人口減少で)県内、国内の市場が縮小する中、県外や国外から来て観光したり泊まったりしてもらうことで、経済を縮小させないという意思で取り組んでいく」。昨年12月、自身の政策を発表した際、吉村氏は力を込めた。
 山形県を訪れた国内観光客は、山形デスティネーションキャンペーン(DC)が開催された2014年度には過去最高の約4517万人を記録。観光消費額は、県が19年までの目標値としていた2100億円に迫る2074億円(14年)と好調だ。
 課題は外国からの観光客「インバウンド」にある。15年に県内に宿泊した外国人は、延べ7万5720人。前年比で57%増と大幅な伸びを記録したが、全国で見れば41位。県内を訪問した外国人観光客数を見ても、15年は約9万6800人にとどまる。
 山形大の山田浩久教授(都市地理学)は「国内で人口増加が見込めない以上、インバウンドに力を入れることは全国的な命題だ」と、県に対応強化を求める。

<交通整備が必須>
 山形への外国人の誘客を考えた場合、仙台空港との連携は欠かせない。山形空港(東根市)と庄内空港(鶴岡市、酒田市)の定期便は国内線しかないからだ。
 インバウンド向けの国際チャーター便は、15年度は前年度比21便増の35便が運航したが、人数にしてわずか計4924人。一方、仙台空港には台北やソウルなど海外5都市との定期便が就航。最も多い台北便は週6日、計8往復ある。
 東北観光推進機構推進本部の佐藤一彦副本部長は「山形県へ入ってもらう上で、最大の課題は交通の便」と言う。
 例えば、個人の観光客が山形市に移動する場合、基本的にはバスや電車を乗り継ぐ必要がある。山形に入っても公共交通網が発達しているとは言えない。団体旅行が中心だった台湾人観光客は個人旅行にシフトしつつあり、交通整備の重要性は一段と高まっている。

<生かす発想大切>
 東北を訪れる外国人観光客は東京や京都、大阪などのゴールデンルートを訪れた日本へのリピーターが多い。「山形の観光資源をどう外国人に見せるかが重要。山寺や蔵王も単体では弱い。あるものを組み合わせ、山形らしい魅力をつくる必要がある」と山田教授。
 示唆に富む事例がある。山形県飯豊町は、人口約7400人ながら、この冬だけでも約1000人を受け入れる予定だ。
 飯豊町の「売り」は豊富な雪を生かしたスノーモービル体験、農家民宿。加えて、祭りや果物狩り、流しそうめんなどインバウンド向けに提示する観光素材は、どれも地域に根差したものばかりだ。
 飯豊町観光協会の二瓶裕基さん(42)は「何かをつくろうとする人は多いが、あるものを生かすという発想が大切。観光客は何を求め、こちらは何を売り込みたいのか。県として目標をはっきりさせた上で、地元や観光宣伝のプロと連携し政策を具体化してほしい」と注文を付ける。(山形総局・阿部萌)


関連ページ: 山形 政治・行政

2017年01月07日土曜日


先頭に戻る