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<キラリこの技>ダイヤめっき 活路開く

自動車向けなどさまざまな部品をめっき加工する工場内
先端にダイヤモンドの粒子を固着したピンセット

 東北で独自の技術やユニークな発想でものづくりを続け、存在感を発揮する企業がある。昨年夏の連載に続き、優れた技を持つ企業を訪ねた。

◎東北ものづくりPart2(2)ジャスト(山形県上山市)

 手術用のピンセットの先端に、粉状のダイヤモンドの粒子をめっきで固着した。「ここをつまんでみて」と岡崎淳一社長(42)が薄い紙を持つ。ピンセットで軽く抑えると、紙を引っ張られても少しも滑らない。
 切削工具などにダイヤをめっきで固着する電着技術を応用し、2013年、医療器具製造に参入した。ダイヤの摩擦がグリップ力を高め、縫合用の針や血管などを確実につかむ。高度な手技が求められる脳神経外科の医師らに評価され、3年ほどで全国の約200病院に採用された。
 1950年創業。オーディオ製品や自動車部品などのめっき加工を手掛けてきたが、08年のリーマン・ショック後に受注が激減した。活路を模索し、開発を進めていたダイヤ電着の技術を磨き上げた。
 ダイヤの硬さは工具などの切削力を高める反面、摩擦が大きいために、付着した粒子が欠落しやすいという難点があった。
 それを解決したのが、粒子を固着するめっき液に炭素繊維「カーボンナノチューブ」を配合する独自の方法だ。カーボンナノチューブがめっき液の強度を上げ、被膜が粒子をより強く固定する。
 切削工具のめっき処理では、長年培った技術を生かして皮膜の厚さをミクロン単位で調整。表面の凹凸を均一にし、切削力を高めた。岡崎社長は「研究と経験の積み重ねによる特別な技術だ」と胸を張る。
 13年には、テレビ番組で穴開け工具と金属が対決する企画に出演した。先端にダイヤを電着したドリルが「絶対に穴が開かない」とうたわれた金属を貫通。大きな注目を集めた。
 今後は、医療機器輸出国のドイツなどをターゲットに海外受注の拡大を目指す。16年4月に海外事業部を発足させ、ドイツ人社員を雇用した。岡崎社長は「この技術には可能性がある。異分野にも積極的に売り込み、新たな活用の道を探りたい」と語る。

●記者のひとこと/技術のブランド化推進

 ダイヤ電着の技術を滑り止めに活用したタンブラーなどオリジナル商品の開発も進めている。めっき業とは縁遠い消費者にPRするためだ。「労働力不足が進むし、会社の名前も売っていかないと」と岡崎社長。技術のブランド化にもアイデアを発揮する。(報道部・保科暁史)


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2017年01月07日土曜日


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