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<足島>海鳥の楽園 忍び寄る危機

繁殖地の足島に集まったウミネコ=2010年5月、宮城県女川町(竹丸さん撮影)

 ウミネコやウトウの繁殖地として知られ、国の天然記念物に指定されている宮城県女川町の無人島、足島にドブネズミが侵入し、海鳥が食べられる被害が相次いでいる。環境省は貴重な生態系を守るため駆除に乗りだしたが、関係者は「海鳥がネズミを恐れて島に近づかなくなるのではないか」と心配している。
 女川港の南東約14キロに浮かぶ足島は、岩礁や崖に囲まれて天敵の動物が少なく、餌となるコウナゴが豊富な海鳥の「楽園」だ。毎年春には繁殖のため、数万羽のウミネコとウトウが飛来する。
 だが東日本大震災以降、胸の辺りを食べられた鳥の死骸が多く見つかるようになった。環境省が調査するとネズミの胃から動物の肉が見つかり、捕食被害と確認した。
 ネズミはなぜ急増したのか。毎年島で観察を続ける日本野鳥の会宮城県支部長の竹丸勝朗さん(78)は「震災の津波で、がれきに乗って流れ着いたのではないか」と推測する。ただ、環境省によると、約1キロ離れた有人島の江島から泳いで渡ることも可能という。
 環境省は2016年11月に3回、殺鼠(さっそ)剤入りの餌を置いたが、油断はできない。かつて北海道東部の無人のユルリ、モユルリ両島でも、ドブネズミによる絶滅危惧種の海鳥エトピリカの捕食が問題化。同省は09年に駆除を試みたがうまくいかず、13年に再駆除したことがある。足島でも再侵入を警戒し、監視を続ける方針だ。
 竹丸さんは「以前は周辺の岩礁にも多くの鳥がいたが姿を消した。他の島にも侵入した可能性がある。大切な繁殖地を守ってほしい」と話している。


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2017年01月08日日曜日


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