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<成人式>救命士目指す「命の大切さ伝える」

復興工事が進む町を臨み、「若い力で地元を元気にしたい」と意気込む三浦さん

 東日本大震災、岩手県を直撃した昨年夏の台風10号豪雨の被災地でも8日、成人式が行われた。災害を経験して生き方を見詰め直し、前を向く新成人たち。それぞれが大きな夢、熱い思いを胸に秘めている。

◎救命士目指す 三浦貴裕さん/宮城県南三陸町

 「あの時、もっと知識があったら助けられたかもしれない」。震災で被災した東北福祉大2年三浦貴裕さん(20)は、目の前で味わった悔しさを胸に救急救命士を目指している。
 震災時の2011年3月、宮城県南三陸町戸倉中の2年生だった。津波から避難した校舎の裏山に男性が流れ着いた。ずぶぬれで動かない。とっさに授業で習った救命救助講習を思い出した。
 男性の口に耳を当てて呼吸を確認。背中をたたいて気道を確保した。「絶対に助けたい」という一心で人工呼吸と心臓マッサージを20分以上続けた。男性の意識は戻らず、無念の気持ちで亡きがらにブルーシートを掛けた。
 津波で自宅を失い、大好きだった祖父母と曽祖母を亡くす。避難所から中学校の仮校舎がある登米市まで通い、先の見えない生活が続いた。「長男として、すぐに働いて家庭を支えよう」と考えていた。
 三浦さんをはじめ、救助活動に携わった生徒5人はその年の秋、県PTA連合会から「善行・篤行児童生徒表彰」を受けた。「自分にも何かできるかもしれない」と初めて命を救う仕事を意識した。
 現在、大学の救急救命士養成コースの1期生として国家資格取得を志す。勉学の傍ら、中学の同級生と町を巡るツアーを企画し、震災の風化を防ぐ活動にも力を入れる。
 将来は消防署員として古里で働くのが夢だ。町の成人式に出席した三浦さんは「若い世代に命の大切さを伝えたい。それが大人の責任だと思う」と決意を新たにした。


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2017年01月09日月曜日


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