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<成人式>養殖に力「一生ここで生きる」

成人式で友人とあいさつを交わす阿部さん(右から2人目)

 東日本大震災、岩手県を直撃した昨年夏の台風10号豪雨の被災地でも8日、成人式が行われた。災害を経験して生き方を見詰め直し、前を向く新成人たち。それぞれが大きな夢、熱い思いを胸に秘めている。

◎ギンザケ漁師 阿部碧仁さん/宮城県女川町

 宮城県女川町の漁師阿部碧仁(あおと)さん(20)は地元のホテルであった成人式を終え、「一生、この町で生きていく」と決意を新たにした。
 阿部さんの家は代々、ギンザケの養殖を手掛けていた。震災の津波で養殖用のいけすなどが被災し、自宅は全壊。町内の親戚宅や県外の宿泊施設などを転々とした。
 間もなく町に戻ったものの、仙台市内の高校への進学を機に再び町を離れた。特待生としてバスケットボール部に所属し、部活漬けの毎日。年2回の帰省のたび、復旧復興事業に伴う町の変貌に驚いた。震災前の姿が思い出せないほどに。
 高校卒業を控え、真っ先に思い浮かんだ進路は家業を継ぐことだった。「自分も海が好き。『女川には何もない』と言う人もいるけど、ここの海は宝の山。豊富な海産物がある」
 卒業後の2015年からギンザケの養殖を手伝う。水揚げが最盛期を迎える7月ごろには未明から働くこともある。過酷な仕事だが、自分の選択に後悔はない。古里を襲った自然を相手に奮闘する父親や祖父の強さを実感する。
 「伝統を引き継ぐのが役目。町で一番の水揚げ量を誇る漁師になりたい」
 少子高齢化が進む町で、阿部さんら新成人は「仲間と手を携え、それぞれの人生や復興を前進させていこう」と誓いを立てた。そのまなざしは古里の明るい未来を見据えている。


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2017年01月09日月曜日


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