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<季節定期便見送り>岩手の観光業界 動揺

花巻空港に到着した初の中華航空の定期チャーター便。今後の運航再開は不透明だ=2014年4月(花巻観光協会提供)

 花巻空港(岩手県花巻市)と台湾を結ぶ季節定期便の運航を検討していた中華航空(台北市)が今年春の就航を見送り、岩手県内の観光業界に動揺が広がっている。2014年から続いた春の定期チャーター便も中止となり、再開は見通せない。旅行会社は定期便化を念頭に置いてツアー販売の準備を進めており、既に台湾定期便がある仙台空港の存在感が増す。
(盛岡総局・横山勲)

<路線引き継ぎ影響>
 県によると、中華航空の季節定期便の就航見送りは、業績不振で解散を決めた台湾のトランスアジア(復興)航空の路線引き継ぎ対応などが影響した。
 達増拓也知事はこれまでトップセールスで定期便化を要望。昨年3月に国際線専用ターミナルの増改築を完了させ、4月には中華航空前会長と県庁で会談し、桜や紅葉の時期に定期便就航の方向を確認した。
 畠山剛県空港担当課長は「就航見送りはビジネス上の問題。働き掛けは続けるが、中華航空側の出方を見守るしかない」と語る。
 10年以降の県内の外国人観光客入込数はグラフの通り。15年の台湾からの客は全体の58.6%を占める。県と歩調を合わせ、受け入れ準備を進めてきた観光業界への打撃は大きい。
 IGRいわて銀河鉄道(盛岡市)旅行部門の銀河鉄道観光は昨年8月、通訳ガイドが同行するタクシーによる少人数のプライベートツアーを始めた。

<戦略見直しが必要>
 台湾定期便が就航すれば団体ツアーを利用しない個人客が増えると見込んだが、利用実績はまだゼロ。同社の木下幸夫所長は「今後は県外から周遊して岩手入りする観光客がターゲットになる。戦略の見直しが必要だ」と話す。
 岩手県北観光(盛岡市)は昨年7月、台北市に事務所を開設した。花巻発着の北東北周遊ツアーを売り出そうとした矢先、季節定期便の見送りが決まった。
 それでも影響は限定的という。同社の相馬高広インバウンド推進室長は「花巻の就航見送りは痛手だが、仙台発着に置き換えればカバーできる」と見通す。
 仙台−台北線は現在、エバー航空と格安航空会社(LCC)タイガー航空が週計8往復する。他にソウル、グアム、上海、北京(上海経由)の各定期路線もある。岩手の観光業者にとって、仙台からの誘客は花巻より現実的に映る。
 温泉旅館を経営する花巻温泉(花巻市)はタイガー航空と提携する現地旅行店と組み、独自ツアーを販売する。半数以上が仙台発着だ。3〜4泊で小岩井農場(雫石町)や世界遺産「平泉の文化遺産」を回る。
 佐藤寿美セールス部長は「路線が安定する仙台が軸になるのは当然。羽田から国内線で乗り継げる青森や秋田から岩手入りするケースも増え、花巻空港から引き込む必要性は薄れている」と指摘する。


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2017年01月09日月曜日


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