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<山形知事3期目>介護職員の育成進まず

「とこしえ西川」で利用者と貼り絵をする介護職員(右)=山形県西川町

◎吉村県政3期目の課題(下)少子高齢社会

<受け入れ後回し>
 雪に覆われた月山の麓、山形県西川町は、町民の約4割が65歳以上と県内一高齢化が進む町だ。県が直面する福祉現場の課題が、くっきりと浮かび上がる。
 昨年7月、町内の住宅街に複合福祉施設「とこしえ西川」が開業した。民間企業が経営するが、町は福祉サービスの拠点にしようと土地を無償貸与し、建設費など約1億円を補助した。
 ただ、11室あるサービス付き高齢者向け住宅は昨年末まで入居者ゼロ。原因は職員不足だった。
 町によると、必要なスタッフ15〜16人に対し、集まったのは9人。デイサービスなどもあり、入居者受け入れを後回しにせざるを得なかった。今月からボランティア団体からパートを雇い、ようやく4人が入居することになった。施設管理者の介護士須藤織乃(しきの)さん(32)は「満室にするには職員が足りない」とため息をつく。
 課題は介護行政の広域連携にある。西川町が属する西村山郡の1市4町は、介護認定審査会を共同設置し事務負担を軽減しているが、介護職員の育成、確保まで手が回らない。
 「人口減が進む中、一つの自治体で介護問題に対応するのは限界がある」。郡内の担当職員は県のリーダーシップの必要性を説く。
 県の人口は約112万(15年国勢調査)。国立社会保障・人口問題研究所は40年には84万人に減ると推計する。高齢化は一段と進み、要介護者は増える。13年比2400人増となる「介護職員2万人」確保を打ち出す吉村美栄子知事(65)の公約は待ったなしだ。

<若者の就職が鍵>
 少子高齢対策では若者の県内定着も急務となる。吉村県政2期目の13〜15年の公表データによると、県外に転出した若者(18〜24歳)は転入者より3000人以上多い状況が続く。
 鍵を握るのは、県内の大学や高校などを卒業する若者の就職とみて、県は15年12月に就職情報サイトを開設した。県内約240社が求人情報を発信するが、実績に結び付いている企業ばかりでない。
 電子部品製造の山形航空電子(新庄市)は本年度、内定を出した10人のうち大卒予定の2人が辞退した。総務部の奥山博美課長は「若い技術者を育てたいが学生は集まらない」と明かす。

<要因の再考必要>
 どうすれば地元企業に目を向けてくれるのか。県が着目したのは、経済優先と別の物差しで測る「暮らしの豊かさ」だった。
 昨年12月、産官学でつくる「オールやまがた若者定着推進会議」を設置し、全国トップの三世代同居率や、共働きが多く女性が働きやすい地域性などを発信していく方針を確認した。
 「山形の良さを周知することが大切」。吉村氏が強調する考え方には確かに一定程度、説得力がある。だが、若者たちが山形に求めるものはそれだけなのか。
 若者の転出超過の要因を捉え直し、これまでとは違う人口減少・少子高齢対策が必要ではないか。
(山形総局・伊藤卓哉)


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2017年01月09日月曜日


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