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<この人このまち>黒板塀で街歩き楽しく

酒井信一郎(さかい・しんいちろう)1956年上山市生まれ。芝浦工大卒。79年から東京都内の設計事務所に勤務するなどした後、2003年、上山市に設計会社パオを設立。NPO法人上山まちづくり塾の理事も務める。

 情緒ある城下町の雰囲気を取り戻そうと、山形県上山市中心部で黒板塀を取り付けている市民グループ「城下町再生志士隊」。隊長を務める建築士の酒井信一郎さん(60)は、さまざまなデザインを考案し、観光客らが街歩きする時に楽しめる景観づくりに奔走している。(山形総局・伊藤卓哉)

◎城下町再生志士隊・隊長 酒井信一郎さん

 −志士隊発足の経緯や活動の現状は。
 「志士隊は2005年3月、上山城の周辺にある武家屋敷通りを味わいある景観にしようと、地域住民らで結成しました。古い建物などの魅力を街歩きをしながら見つける『山形路上観察倶楽部(くらぶ)』に所属しており、東北や関東圏で市街地の景観を調査してきた経験を生かせないかと思い、参加を決めました」
 「現在は約10人で活動しています。依頼が来た時は、旅館組合員や大工、塗装業などのメンバーが、それぞれの得意分野を生かしながら1、2カ月かけて板に塗装したり、絵付けをしたりして完成させています」
 −これまで制作してきた黒板塀はどのようなものですか。
 「12月中旬に市内で14カ所目となる黒板塀を完成させ、既存のブロック塀に取り付けました。しっくいの部分には、姫路城の塀をイメージし、銃口の模様をあしらいました。これまでの作品では、上山の四季や温泉の歴史絵巻を描いたものなどがあります」
 「他都市でも黒板塀の再生に取り組んでいる事例がありますが、街全体で同じ色、模様の場合が多いです。建物や通りによって個性を出すことが街歩きの面白さにつながると思い、それぞれ異なったデザインで仕上げています」
 −街の歴史を記録する活動もされているようですね。
 「武家屋敷や古くからある旅館、蔵などを巡り、所有者から建物の特徴や歴史的背景を聞き取ってまとめた記事にスケッチを添えた本を11年に出版しました。黒板塀の制作活動と並行して、今でも調査活動をしています。趣のある上山市の街並みを後世に伝えていく役目があると思っています」
 −今後の展望は。
 「実は住民から次のオファーは既に来ています。建物の特徴を十分に理解した上で、関心を持って見てもらえる塀を作ろうと、思いを巡らせながら構図を考えています。これからも黒板塀の設置場所を増やし、魅力的な街づくりを進めていきたいです」


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2017年01月09日月曜日


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