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<汚染廃棄物>堆肥化やすき込み 非焼却も課題

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物を巡り、宮城県は市町村などの施設で一斉焼却する方針を棚上げし、堆肥化やすき込みによる処理を検討する考えを示した。堆肥化・すき込みは既に栗原市などが取り組んでいるが、どちらの方法にも課題はある。
 「堆肥化やすき込みは有効な方法だが、膨大な量の堆肥を作ってそれがまた廃棄物にならないか。廃棄物の全量処理に相当な時間がかかる」。4日の定例記者会見で村井嘉浩知事は疑問を呈し、改めて一斉焼却を追求する考えを強調した。
 堆肥化は、牧草や稲わらといった汚染廃棄物を家畜のふんなどと混ぜ、微生物の働きで発酵させ有機肥料にする。農林水産省の通知で1キログラム当たり400ベクレル以下になれば肥料として利用可能で、400ベクレル超でも汚染牧草などが出た元の農地であれば戻すことができる。
 すき込みは、牧草や稲わらなどを細かくして農地に混ぜ込む。400ベクレル以下が条件だが、牧草や稲わらが出た農地に戻す場合は8000ベクレル以下まで許される。
 堆肥化は県の一斉焼却方針に慎重姿勢を示した栗原市が進め、登米市がすき込みの実証実験を行うと発表した。県畜産課は「技術的に難しいことはない」と説明しながらも、汚染廃棄物ゆえの困難さを指摘する。
 堆肥化の場合、混ぜ込む家畜のふんなどが一定量必要になる。発酵にある程度時間がかかるほか、できた堆肥の売り先も確保しなければならない。農地に戻すとしても、原発事故で汚染された牧草地などは既に除染処理が施されている。公有地でも、農地として使われることが前提になる。
 担当者は「汚染牧草などが発生した農家は原発事故の被害者で、廃棄物の一時保管者でもある。堆肥を肥料に使うことや除染した農地に再び戻すことに、抵抗を感じる農家もあるのではないか」と懸念する。
 村井知事は昨年12月27日の県内市町村長会議で、各市町村に堆肥化・すき込みについて検討してもらった上で、半年以内に再び会議を開く考えを示した。廃棄物を抱える市町村はそれまでに堆肥化・すき込みに取り組むかどうかや、処理できる廃棄物量の見込みなどを決める。


2017年01月10日火曜日


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