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<原発事故>製造業復興 ロボに活路

安倍晋三首相(中央)も会員企業を訪れ、ロボット産業の現状を視察した=昨年12月10日、南相馬市

 福島県相双地方の中小製造業者が、ロボット産業参入に向けた動きを加速させている。新たな連携組織を設立して、技術アピールや情報発信で歩調を合わせる。大手企業などとの共同開発に結び付け、東京電力福島第1原発事故による苦境からの脱出を目指す。
 連携組織は「南相馬ロボット産業協議会」。既存団体を再編する形で昨年6月に発足した。南相馬市に事務局を置き、市内を中心に周辺の50社以上が加盟する。イベントに企業ブースを設置したり、先進工場を視察したりしている。
 ロボット産業振興に向け、福島県は新年度、南相馬市内で実証試験施設の整備に乗り出す。製造大手や研究機関が活用するとみられ、地元企業に技術協力を求めるケースも想定される。
 協議会事務局は「試験施設に近い地の利は大きい。参入の好機になる」と強調。今後、会員企業の情報をデータベース化するなどして、大手のニーズに即応できる環境を整える。
 五十嵐伸一会長は「大手と接点ができれば新規取引の可能性が広がる。情報系や機械加工など、地場企業の得意分野を結集して挑みたい」と意気込む。
 会員企業の中には、既に大手との連携に成功したケースもある。
 生産設備や検査用機器などを手掛ける南相馬市の協栄精機がその一つ。昨年、IHIが開発する無人航空機の一部を担うことが決まった。自社の設計能力が評価され、パートナーに選ばれた。
 開発に携われば部品特性への理解が深まる。仕様変更などへの対応能力が高まり、受注競争で他社を大きくリードできる。協栄精機の佐藤正弘社長は「将来、量産する部品を受注できれば新たな事業の柱になる」と期待を込める。
 原発事故による地域経済への打撃は大きい。赤字を東電の賠償で埋めている製造業者は少なくない。業況好転にはロボットなど新分野への参入が不可欠だ。
 地元中小の挑戦を行政も後押しする。南相馬市は加工機械購入の補助を拡大したほか、試作品製造費の一部を助成する制度などを構築。昨年10月には東京で企業セミナーを開催し、市長自らがアピールに努めた。
 市ロボット産業推進室は「新産業の定着には市民の理解が不可欠。イベントなどを通して歓迎機運の醸成にも力を入れたい」と説明する。


2017年01月10日火曜日


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