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<危険区域再建>宮城の被災地 400世帯超

現地再建した住宅が点在する災害危険区域。さまざまな課題が浮かび上がっている=宮城県山元町笠野地区

 東日本大震災後、宮城県内の被災地で指定された災害危険区域内で暮らす現地再建の被災者が、11市町で少なくとも400世帯以上に上ることが河北新報社の調べで分かった。制度上、危険区域内の自宅を修繕して住み続けることは可能だが、安全な住まいの確保を望む自治体との間にあつれきも生じている。(報道部・小沢一成)
 震災後、津波被害を受けた宮城県沿岸の12市町が各市町内に災害危険区域を指定。名取市を除く11市町で現地再建が行われている。
 河北新報社が昨年12月中旬、11市町に危険区域内の現地再建者数を尋ねたところ、市部では石巻市が72世帯(昨年10月時点)、塩釜市4世帯、仙台市10世帯、岩沼市15世帯だった。
 気仙沼市は、市が同区域での新築を認めた例が22戸(同9月末時点)あるが、自宅を修繕して暮らす世帯数はつかんでいない。東松島市は現地再建希望者が269世帯と説明したが、実際に暮らしている世帯数は把握していない。
 町部では、南三陸町が39世帯、七ケ浜町4世帯、亘理町15世帯、女川町約30世帯(同3月末時点)。山元町は自前の津波被災住宅再建支援制度で、危険区域での現地再建分の申請が約270戸だった。
 危険区域での現地再建が相次ぐ理由を、各市町は「農業などなりわいを続けたい人が多い」(岩沼市)「津波被災跡地は地価が下がり、移転で借金を抱えるのを避けるため」(石巻市)などと説明する。
 一方、危険区域内の現地再建を支援するかどうかは分かれる。現地再建者を含めた独自の補助制度を設けているのは東松島市、塩釜市、南三陸町、山元町。南三陸町は「やむを得ず現地再建し、他の補助制度を使えない被災者を救うためで、現地再建の推奨ではない」と強調する。
 危険区域の指定は防災集団移転など国の補助事業の前提となるため、安全な内陸部や高台への移転を望む市町の多くが現地再建の支援を見送っている。だが、制度上は「『危険区域に住んでは駄目』とは言えない」(仙台市)ため、危険区域で暮らす住民には「執拗(しつよう)な移転施策は居住権の侵害だ」(宮城野区蒲生北部地区の住民)などの不満がある。
 東北大大学院の姥浦道生准教授(都市計画)は、危険区域で再建住宅が点在する現状を指摘。「インフラ整備など行政サービスの効率性が十分に保てない。家は建て替えられず、集落は消滅していく」と話す。

[災害危険区域の現地再建]災害危険区域は地方自治体が建築基準法に基づき、津波などによる危険の著しい区域を条例で指定し、建築を制限する。基本的に住居用建築物の新築や建て替えができないが、被災した住宅を修繕して住むことは可能。基礎のかさ上げなどを条件に建築を認める自治体もある。


2017年01月11日水曜日


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