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<危険区域再建>支援対象外「弱者切り捨て」

「被災者へのいじめとしか思えない」。災害危険区域の自宅前で、仙台市の対応に憤る山田さん=宮城野区中野

 東日本大震災後に指定された災害危険区域に住む宮城県内の被災者が、各自治体に支援の拡充や安全対策を求める動きが出ている。住まいの安全確保を理由に危険区域内の現地再建者への支援に消極的な自治体に対し、一部住民から「弱者を切り捨てないで」との声が上がっている。

<修繕途中に>
 「なぜ差別されるのか。弱者を切り捨てるのか」
 震災後に災害危険区域となった仙台市宮城野区蒲生北部地区で暮らすタクシー運転手山田昌巳さん(72)は語気を強める。
 怒りの矛先は、市が本年度始めた「津波被災者再建支援金制度」に向けられている。震災時、津波浸水域の持ち家に住んでいた世帯が自宅再建した場合に20万円を交付する制度だが、危険区域での再建は「安全な住まいの確保」の制度趣旨にそぐわないとして、対象外の扱いだ。
 山田さんの自宅は約3メートルの津波で全壊。「またローンを組むと蓄えがゼロになる。老後の生活設計を崩したくなかった」。自ら修繕を続け、2012年末に現地再建を果たした。
 だが、修繕途中の11年12月、市が一帯を危険区域に指定。「市には『増改築をしなければ残っていい』と言われた」という。今は近隣住民と共に市に対し、支援金の交付対象に加えるよう訴えている。

<億単位の金>
 宮城県山元町笠野地区では、災害危険区域で現地再建した被災者らのグループが津波防御が目的のかさ上げ県道計画のルート変更を町や県に求めている。計画通りに進めば、笠野地区の約15戸が県道より海側に取り残されるためだ。
 「町は住民の安全安心を守ると言うが、なぜ県道を集落の山側に持っていくのか」。グループの一員で、自動車整備業を営む岩佐好之さん(56)は疑問を投げ掛ける。自宅と隣接の整備工場は津波で全壊。「移転して再建すると億単位の金がかかる。とても借金はできない」。迷わず現地再建を決めた。
 岩佐さんは「悪いことは何もしていない。(笠野地区を取り残す)県道計画は『お前は山元町民ではない』と言っているように感じる」と憤慨する。


2017年01月11日水曜日


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