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<震災遺産>常磐線 被災レール後世に

クレーンでつり上げられ、保存されたレール=昨年11月8日、福島県富岡町(町提供)
津波で押し流されたレール=昨年6月、福島県富岡町

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県富岡町は、東日本大震災の津波で流されたJR常磐線のレールの一部を震災遺産として保存した。被災したレールの保存は初とみられる。町は津波の威力を伝える資料として手で触れられるように展示方法を工夫し、防災教育などでの活用を考えている。
 レールはJR富岡駅の南側500メートル付近にあり、津波で押し流され、大きく湾曲してめくれ上がった。原発事故で5年以上、手付かずの状態だった。町と福島県立博物館(会津若松市)、福島県が昨年11月、常磐線の復旧工事を進めるJR東日本水戸支社からそれぞれ譲り受けた。
 JRは事前にレールを切断し、コンクリートの枕木が付いた状態で富岡駅構内に保管。町と県が共に3メートル、博物館が2メートルを受け取った。博物館は「ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委」の事務局を担う。
 富岡駅は津波で駅舎が流失し、現在はレールの敷設工事などが続く。津波被害を受けたJR線を管轄するJR盛岡、仙台、水戸の各支社によると、レール保存は初めてとみられる。
 富岡町は昨年3月、震災遺産保全宣言を発表し、これまで5000点以上を収集。地域の歴史と共に地震、津波、原発事故の複合災害を伝えるアーカイブ施設の2019年度開設を目指している。レールは既に保存した富岡駅の駅名標などと組み合わせて展示する方向で検討している。
 町職員でつくる「歴史・文化等保存プロジェクトチーム」の門馬健学芸員は「実際に触れることができる資料の力は大きい。重いレールを押し流し、曲げてしまう津波の威力を直接伝えられる」と強調する。


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2017年01月12日木曜日


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