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<震災5年10カ月>孤独訴え 苦悩深まる

電話で悩みを聴く相談員の僧侶。「孤独を訴える相談者が増えている」=11日午後4時ごろ、仙台市内

 東日本大震災の被災者の心の叫びは5年10カ月たってもやむことがない。悩みを受け止めようと、僧侶や牧師、神職らが宗教の枠を超えてつくる「心の相談室」(仙台市)は今も電話相談を続ける。相談件数は震災直後より大幅に減ったが、着実に進む復興とは裏腹に孤独を訴える内容が目立ち、切実さを増す。宗教者は「悩み苦しむ人がいる限り向き合いたい」と話す。
 震災月命日の11日。午後3時31分、仙台市内の寺の一室にある専用電話が鳴った。相談員の男性僧侶(37)が受話器を取ると、しわがれた声で高齢とみられる男性が、矢継ぎ早に心の内を打ち明けた。
 「妻と離婚後、子どもに一度も会えない。寂しい」。離別から20年以上。最もショックだったのは震災の時。別れた家族から安否を気遣う電話すらなかったという。訴えは1時間半近く続き、相談員は「つらいんだね」「寂しいね」と相づちを打った。
 「心を開く壁にならないように」と電話の主、相談員は共に顔と名前を明かさない。匿名で思いを吐露し、ひたすら耳を傾ける。
 相談の受付時間は午後3〜9時。この日はたった1件だったが、相談員はいつでも対応できるように、3人が交代で着信を待った。
 心の相談室は2011年10月に始まり、月4〜8回開設。運営費や人のやりくりの都合で14年9月に一時休止したが、36カ月間の相談件数は計2217件で、月平均60件を超えた。相談は仮設住宅での暮らしの悩みや仕事上の不安など、震災に伴う生活に直接関わる内容が大半を占めた。
 態勢を整え昨年4月、開設を月2回に減らして再開した。周知不足もあって相談は毎回0〜3件と減ったが、相談員らは「最近は孤立や孤独の訴えが目立つ」と口をそろえる。
 「周囲の復興が進む一方、将来を見通せない不安を抱える人は少なくない」と相談員はみる。心の相談室理事の僧侶(70)は「悩む人に手を差し伸べる存在が年々減っていることも背景にあるのでは」と言う。
 相談員は「たとえ一人でも悩み苦しむ人がいれば、訴えを受け止める役割を担いたい」と語る。
 次回開設は25日午後3〜9時。当日の電話は(0120)783643。


2017年01月13日金曜日


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