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<タリウム事件>初公判 心の闇解明が焦点

元名大生が住んでいたアパート。1階の自室内で森さんの遺体が見つかった=12日午後5時ごろ、名古屋市昭和区

 2014年に名古屋市で高齢女性を殺害し、12年に仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた名古屋大の元女子学生(21)=仙台市出身、事件当時未成年=の裁判員裁判が16日、名古屋地裁で始まる。劇物混入や殺人、放火など次々に凶行に手を染めていったのはなぜか。心の闇を解明できるかが焦点となる。
 元名大生は19歳だった14年12月、名古屋市の自宅アパートで、宗教に勧誘され知り合った無職森外茂子(ともこ)さん=当時(77)=を殺害した殺人罪など6件の罪で起訴された=骨子表=。弁護側は責任能力の有無を争い、無罪を主張するとみられる。審理は公開の法廷で20回行われ、判決は3月24日に言い渡される見通し。
 元名大生は逮捕後の調べに「子どもの頃から人を殺してみたかった」と供述。自身のツイッターには、神戸市の連続児童殺傷事件や東京・秋葉原の無差別殺傷事件など、過去の重大事件の加害者を崇拝する書き込みもあった。
 森さんを殺害したとされる日のツイッターには「ついにやった」と記し「死」へ強い執着を示していた。直後に「焼死体が見たい」との理由で仙台市内の住宅に放火するなど、殺人願望を満たそうと凶行を重ねたとみられる。
 15年9月の少年審判で、名古屋家裁は「好奇心を満たすため実験として女性を殺害した。犯行は計画的で態様は極めて残虐」と非難。殺人以外については「一連の流れの中で行われた犯行。(タリウムによる)中毒症状を観察したい、焼死体を見たいとの身勝手な動機で、被害者の苦しみは計り知れない」と指摘した。
 責任能力については「発達障害が認められ、成育・家庭環境に一定の問題はあったが、大きな影響ではない」として刑事処分が相当と結論付け、検察官送致(逆送)を決定した。
 タリウム事件では、被害男性(20)が事件直後、「同じクラスの女の子が白い粉を持ち歩いていた」と宮城県警に情報を寄せたが捜査に生かされなかった。仙台市の私立高校側が「危険な白い粉」と校内で見せびらかす元名大生に厳重注意した事実を伏せていたことも発覚し、警察と学校の初期対応が問題視された。

[硫酸タリウム]非常に毒性が強い金属の一種であるタリウム。成人の致死量は約1グラム。少量でも吐き気や視覚障害などを発症する。硫酸タリウムはネズミを殺す薬として使われる。においや味がなく、混入に気付くのが難しい。2005年に静岡県の女子高校生が母親にタリウムを摂取させ、重体に陥らせた殺人未遂事件が起きた。


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2017年01月15日日曜日


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