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<えんずのわり>存続危機 担い手男子減る一方

鳥追いで地区の家々を回り、健康や長寿などを願った子どもたち。各戸で温かく迎えられた=14日午後7時20分ごろ、東松島市宮戸の月浜地区

 東松島市宮戸の月浜地区に伝わる国重要無形民俗文化財「えんずのわり」が苦境に立っている。少子化や東日本大震災の影響で地区で担い手となる小中学生の男子が減り、今年の参加者はわずか3人。地元住民らは、約200年続く貴重な小正月行事の在り方を模索する。
 14日夜、家内安全や大漁などを願う「鳥追い」があった。大将を務める宮野森小5年鈴木凜生(りき)君(11)と4年山内紳太郎君(10)、3年小野佑真君(9)が神木を手に地区の家々を回り、歌を唱えた。
 「えんずのわりとりょうば かずらわってすをつけて(意地の悪い鳥を 頭割って塩つけて)」
 3人は行事期間の11〜16日、学校に通う傍ら寝食を共にする。地区の岩屋でまきをくべ、食事を作り、集会所に寝泊まりする。山内君は「みんなで生活するのが楽しい」と話す。
 様子を見守った小野源次郎区長(69)は「子どもたちが協力し合って成長する。えんずのわりは集落の宝」と語る。
 えんずのわり保存会の小野勝見会長(67)らによると、高度成長期の1960年代、参加者は約20人に上った。近年は一桁にとどまり、小野君より年下の男児は1歳の1人だけ。
 地区では震災前は約170人が暮らしていたが、多くの住宅が津波で被災。地区外への転出が相次ぎ、半数の約80人に減少した。
 行事の存続を望む住民は(1)転出した子どもも担い手として受け入れる(2)期間を短くして負担を軽減する−などと提案する。一方で「行事本来の姿を変えてまで続ける必要があるのか」と慎重な声もある。
 小野会長は「えんずのわりは厳しい体験を積み、一人前になるための修行の場でもある。2〜3年で何とかしなければ中止の可能性もある」と危ぶむ。
 子どもたちが主役となる小正月の鳥追い行事はかつて東日本の農村地域で多数あったが、今は少なくなったという。
 東北歴史博物館(多賀城市)の小谷竜介学芸員(民俗担当)は「えんずのわりは大切な日本の文化の一つ。地域の人々が知恵を絞り、どうするべきかを考えてほしい」と指摘する。


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2017年01月15日日曜日


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