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<自主避難>10都道府県が住宅支援策

 東京電力福島第1原発事故の自主避難者に対する住宅無償提供を3月で打ち切る福島県の方針を受け、避難先の10都道府県が公営住宅に関する独自支援策を打ち出していることが、福島県のまとめで分かった。東北6県は山形のみで、山形を含む全国5道府県は一定戸数を無償提供する。転居費など金銭的補助は山形、秋田を含む5県が実施。青森、岩手、宮城各県などは入居要件緩和にとどまり、避難先によって支援内容に差が生じている。

<要件緩和が大半>
 主な支援は表の通り。福島県が昨年12月、自主避難者のいない高知、徳島両県を除く44都道府県に聞き取りした。
 山形県は県職員公舎50戸を無償提供し、転居費用も5万円を上限に補助する。担当者は「経済的に行き場がない人の住まいを最低限確保する必要がある」と説明する。ただ応募は少なく「子どもの転校を避けたい」といった希望との食い違いが課題となっている。
 秋田県は2016年度から、県内での転居費用を10万円まで補助。住民票の異動が要件で、担当者は「定住希望者が一定数いたため支援を決めた」と話す。
 全国では、一定期間無償提供したり、入居抽選などで避難者の「優先枠」を設定したりする対応が目立つ。市町村では、札幌や鳥取、伊勢(三重県)各市などが公営住宅の無償提供を決めている。
 ただ、大半は国と福島県の要請に基づき、自主避難者を「持ち家なし」や「所得を半分」とみなすといった公営住宅の入居要件緩和で対応する方向だ。
 青森県の担当者は「(金銭的補助など)財源措置は難しい」と説明。ただ「可能な範囲で支援したい」として、公営住宅の当選確率を2倍にしているという。

<「本来は国対応」>
 東日本大震災で被災した宮城、岩手両県は独自支援は行わない予定。「生活困窮者であれば、生活保護などの公的扶助で対応可能」と宮城の担当者。岩手は「津波被災者がどうしても優先になる。(原発事故避難者については)県をまたぐ話で、本来なら国が対応してほしい」と指摘する。
 これに対して福島県は家賃や県内への転居費用を補助するほか、公営住宅に専用枠を設けた県外の自治体には修繕費用などを一部負担することにした。
 ただ無償提供の打ち切りを撤回する考えはなく、県生活拠点課は「避難区域外では帰還できる環境は整っている。戻れる方には戻っていただくのが基本スタンスだ」と説明する。
 自主避難者への対応の在り方について、福島大の今井照(あきら)教授(自治体政策)は「全ての責任は福島県にある。本来は福島県が県民の声を聞き、等しく支援が続くよう(財源措置などについて)国に働き掛けないといけない」と指摘する。


2017年01月15日日曜日


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