宮城のニュース

<外国人犯罪デマ>大災害の時情報選択冷静に

郭基煥(カク・キカン)愛知県一宮市生まれ。名古屋大大学院国際開発研究科博士後期課程満了。2009年に東北学院大准教授、13年から現職。専門は社会学、差別論。在日韓国人3世。49歳。

 東日本大震災直後、被災地で外国人犯罪が横行しているというデマが流れ、多くの住民が信じた。仙台市民を対象に実態を調査した郭基煥(カクキカン)東北学院大教授(共生社会論)は、情報の冷静な選択や事前の教育の充実を訴える。(聞き手は報道部・高橋公彦)

 −デマを聞いた回答者の8割以上が内容を信じた。
 「災害時の不安や興奮といった特殊な心理状況と関係がある。一度流布されたデマは止まらない。うわさを広めた人は悪意からではなく、周りの人の身の安全を気遣った可能性もある。災害時だけに、普段なら疑問に思うような話も信じてしまう」
 「震災当時、新聞やテレビで『被災地と日本人は秩序正しい』と盛んに報じられた。一方で、被災地では実際に犯罪があった。そうすると秩序の正しさと、犯罪が起きている事実が(人々の意識の中で)一致しない。外国人による犯罪にしてしまうと、その矛盾がなくなる。デマはそのように拡散していった」

 −1923年の関東大震災では、外国人を巡るデマが惨事につながった。再び起こり得るか。
 「昨今のヘイトスピーチの問題と災害の頻発を踏まえると、デマが起こる可能性は高まっている。東日本大震災のデマは十分に検証されていない。次の災害でも、震災で外国人の犯罪があったというデマがまことしやかに語られるだろう。何かをきっかけに悲劇が起きることは考えられる」

 −市民がデマと向き合う上で必要なことは。
 「事前の災害教育が必要だ。災害時にはデマが出回りやすいと理解する。震災直後にデマが広まった際、警察や報道機関は注意を呼び掛けたが、効果は限定的だった。日本人だから、外国人だからという人種主義的な発想を批判的に見ることが大切だ。受け手の心構えがより重要になる」


2017年01月16日月曜日


先頭に戻る