岩手のニュース

<集団移転>資力不足 家造り協力

村上さん(奥)ら住民有志も建築を手伝っている

 東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市広田町長洞地区で、防災集団移転先に土地を確保したものの資力がなく、自宅再建が困難な被災者に代わり、住民有志らが家造りを買って出ている。同地区では震災直後から被災者の分散を防ぐ取り組みをしており、「コミュニティーをまるごと維持する」と意気込む。
 長洞地区の集団移転地は14区画を造成。唯一、住居が建っていない無職男性(81)の敷地に寝室に活用する予定のトレーラーハウス2台が置かれた。居間や風呂、台所など約40平方メートルの平屋は骨組みまで完成した。
 男性の自宅再建は、住民有志でつくる一般社団法人「長洞元気村」が取り組む。トレーラーハウスは、同市内で岩手県医師会の仮設診療所として使われていたものを譲り受けた。資材などの経費も負担。男性には被災者向けの公的な支援金の範囲で出してもらう考え。建築は埼玉県内の大工がボランティアで請け負った。
 被災地でコミュニティーの崩壊が相次ぐ中、同地区は震災直後、市と交渉して地区に仮設住宅を整備し、19世帯が暮らした。その後、住まいの自力再建が進む一方で、災害公営住宅の希望者もいた。
 住民側は「分散すれば孤立しかねない」と危機感を強め、地区内に一戸建て災害公営住宅の整備を市に求めたが、実現しなかった。
 同地区では多くの被災者が集団移転地で再建を果たしたが、この男性だけめどが立たず、別の仮設住宅を経て、市内の災害公営住宅に移った。
 男性も妻(84)も運転免許がなく、漁や畑作業をしたくてもできない。「古里の長洞に帰りたい」とこぼす妻は閉じこもりがちになり、認知症の症状が表れるようになった。
 長洞元気村事務局長の村上誠二さん(60)は「懸念が現実になった。再び一緒に暮らすため、できることをやる」と力を込める。


2017年01月16日月曜日


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