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<双葉町長選>復興拠点 期待と不安

JR双葉駅西地区での除染作業。止まっていた時計の針が動き始めた=16日、福島県双葉町

 東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県双葉町の町長選が19日、告示される。第1原発が立地し、除染廃棄物の中間貯蔵施設が造られ、帰還困難区域が96%を占める。町民は38都道府県に散る。最も厳しい環境といわれる町の将来は描けるのか。新たな任期4年は町の存続を懸けた最初の正念場となる。(いわき支局・古田耕一)

◎存続を懸けて(上)青写真

<近くに中間施設>
 「原発事故から5年半。ようやく復興への具体的な形を示せるようになった」
 町が昨年秋、県内外14カ所で開いた町政懇談会。伊沢史朗町長のあいさつは、前年の懇談会の「前に進む状況をお見せできず、歯がゆい」から大きく変わった。
 背景にあるのは、国が昨年8月に示した帰還困難区域の基本方針だ。除染とインフラ整備を一体的に行う「特定復興拠点」を設け、5年後をめどに避難指示を解除する。町幹部は「五里霧中だった帰町に一筋の光が見えた」と語る。
 町は昨年12月策定の第2次復興計画で、復興の拠点地域のゾーニングを提示。2023年度ごろに居住可能となるよう環境整備を進め、26年度ごろに2000〜3000人の居住を目指すと打ち出した。
 初めて具体的な年次と数値目標を掲げた計画だが、視界はまだ不透明だ。町各界の代表が復興計画作りに携わった町民委員会。計画案を承認した12月の会議で、副委員長の岡村隆夫さん(76)は懸念を口にした。
 「前に中間貯蔵施設、後ろに汚染された山。若い人が町に帰るだろうか」
 昨年10月に環境省が本格除染を始めたJR双葉駅西地区など、町が復興の拠点と描く場所は、中間貯蔵施設と目と鼻の先。廃棄物輸送のピーク時には、大熊町の施設と合わせ1日3600台のダンプが往復する。

<「決意」表明だけ>
 国は将来的に、特定復興拠点以外でも避難指示解除を目指すとするが、財源などの裏付けがない「決意」の表明だけだ。
 政府が昨年12月の閣議で福島の復興指針を改定し、特定復興拠点を国費で除染すると決めたことで「国費の投入額を抑えようと、拠点の範囲を狭める力が働くのではないか」(町関係者)との危惧も生じている。
 岡村さんは「帰還、町の存続は徹底した除染が大前提だ。特定復興拠点をどれぐらい広げられるか、町全体の除染に国がどれだけ本気で取り組むか。それいかんで計画は再び画餅となってしまう。町は国に強く訴えるべきだ」と強調する。
 双葉町が描く復興の拠点は第1原発から数キロに位置する。今後30〜40年かかるとされる廃炉作業。「万が一のことがあれば、全てが水の泡」(町議)となる。
 12月の町民会議。委員長の田中清一郎さん(80)は全員の気持ちを代弁した。
 「避難して6年近くがたち、町民は心身ともに限界に達している。最終的には双葉町に帰るという信念で議論した。町はわれわれの思いを受け止め、計画を確実に実行してほしい」


2017年01月17日火曜日


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