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<再生に挑む>高収量へ管理自動化

従業員と一緒にトマトを箱詰めする鈴木社長(右)

◎デ・リーフデ北上(石巻市)施設園芸 オランダの技術導入

 宮城県石巻市北上町の被災農地に建つガラス張りの園芸施設。昨年12月中旬、暖かい室内ではトマトが鈴なりに育ち、初の収穫を迎えた。

<未経験者が栽培>
 生産会社「デ・リーフデ北上」の鈴木嘉悦郎社長(69)は「農業経験がない人たちが育てた。最新鋭の機器が自動管理しているとはいえ、無事に収穫できて良かった」と目を細めた。
 11月中旬から従業員やパート社員ら約50人が総出でもぎ取りや箱詰めに励んだ。12月下旬にはもう一つの主力商品、パプリカの収穫が始まった。「手探りが続くが、安定した経営につなげたい」と意気込む。
 施設園芸の先進地、オランダの技術を取り入れた。温度や湿度は全てコンピューター管理。温度調整には地元材を使った木質バイオマスボイラーや地下水を利用した熱交換を用いる。通常の園芸施設に比べ燃料コストを抑えつつ、高い収量が見込めるという。
 鈴木さんは代々続くコメ農家だった。北上川沿いは一日の寒暖差が大きく、良質なコメが育つ稲作適地だったが、東日本大震災の津波で農地が水没し、農機具は流された。
 地方では震災前から人口減と高齢化が進む。「被災地の農業をどうするか」「従来の農業は成り立たない」。除塩作業を眺めながら考え、たどり着いたのが施設園芸だった。
 2013年10月、知り合いの農家から「オランダの園芸農家が園芸施設の被災状況の視察に宮城県を訪れる」との話を聞き、仙台で個別に会う約束を取り付けた。オランダの現状を尋ね、機械化が進み、収量は日本のほぼ2倍に上ることを知った。「もうかるし、農業経験のない若者も参入できる。これしかない」と確信した。

<「夢追い続ける」>
 市や国の支援を受け15年に施設建設に着手。昨年8月から計2.4ヘクタールで栽培を始めた。トマトは年間330トン、パプリカは260トンの収穫を目指す。「種まきの時期をずらして育てれば端境期の出荷も可能になる」。数年後には第2、第3の施設を構え、生産量をさらに増やす考えだ。
 施設園芸に携わる人材の育成にも期待する。現在働いている従業員は、次の施設では指導する立場になる。「施設園芸の情報発信基地にしたい」と話す。
 「挑戦を続ける」が信条の鈴木さん。コメ作りでは地域に先駆けて自由米の販売に乗り出し、売り上げを伸ばした。「施設園芸は初挑戦で時に失敗もするが、行動力は失いたくない。まだまだ夢を追い続ける」と力を込めた。(報道部・田柳暁)


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2017年01月18日水曜日


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