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<宮城インバウンド>町民の姿 台湾に伝える

ツール・ド・東北に参加するため来日した台湾人を案内する佐藤さん(右)=2016年9月、宮城県南三陸町志津川

 増え続ける訪日外国人旅行者(インバウンド)。地域の元気につなげたいと、宮城県内でも各地で誘致に知恵を絞る。「ぜひ、おらほに」。まちが、ひとが、宝物が、旅行者を待っている。

◎故郷とつなぐ 南三陸町国際交流協会理事・佐藤金枝さん

<研修旅行を誘致>
 通訳、語り部ガイド、中国語講師…。南三陸町国際交流協会理事で台湾・台北市出身の佐藤金枝さん(49)は一人何役もこなし、東日本大震災で被災した町と故郷をつなぐ。震災後、台湾からの訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致に力を入れる町に協力。「困難に負けず前を向く町民の姿を台湾人に伝えたい」と活動の枠を広げている。
 南三陸病院の再建で台湾紅十字組織から支援を受けたことを機に町は台湾との交流を図る。震災の教訓を学ぶ高校生の研修旅行を誘致し、2015年から9校324人を民泊で受け入れた。
 佐藤さんは1994年に来日し、結婚で町に移り住んだ。夫の会社を手伝い、県内の学校などで外国人向けに日本語を教えていた。
 震災の津波で自宅と夫の会社が全壊した。先の見えない避難所生活で町民と肩を寄せ合った。すぐに地域の再建に向けて動きだす町民を間近で見て驚いた。「取られた物は取り返すことができるという自信が感じられた」と振り返る。

<精神に高い関心>
 訪れる台湾の高校生には、復興に向かう町民の奮闘と土地への愛着に焦点を当てて話をする。「外から来ると、被災した町でマイナスからスタートするより別の場所に移り住めばいいと考えがち。だから、復興を目指す町民の精神性に関心が高い」と言う。
 誘致活動にも尽力する。台湾の校長らが下見に来ると売り込みに奔走し、問い合わせにもきめ細かく対応する。町観光協会の及川和人さん(36)は「ほかの自治体にはない強みになっている」と信頼を寄せる。

<中国語も教える>
 旅行者をもてなすため、町民向けに始めた中国語講座には、民泊先の家庭を含め50人が参加する。すぐに使える会話を集めた自作のプリントが教材だ。2016年末、台湾をともに訪れた受講生が現地の人と積極的に話す姿に手応えを感じた。
 震災前、外国人として見られ、周囲と壁があったという佐藤さん。今、町民は復興支援への感謝の気持ちを素直に伝えてくれ、台湾に対するイメージが大きく変わったのを体感する。
 さらなる交流が、さらなるインバウンドを呼び込む。「旅行者の受け入れだけでなく、台湾に行く町民も増やしたい」と意気込む。(南三陸支局・古賀佑美)


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2017年01月06日金曜日


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