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<宮城インバウンド>真のゴールは地域再生

インドネシア人留学生たちを招き、ハラール対応食の研修会を開く太見社長(中央)=2016年12月、宮城県丸森町

 増え続ける訪日外国人旅行者(インバウンド)。地域の元気につなげたいと、宮城県内でも各地で誘致に知恵を絞る。「ぜひ、おらほに」。まちが、ひとが、宝物が、旅行者を待っている。

◎DMOが目指す先 侍(宮城県丸森町)太見洋介さん

<県南地域で研修>
 「ラーメンを食べたい人が多いが、豚骨やアルコール分を含む調味料を使ったものは食べられない」
 丸森町の和食店で2016年12月に開かれた研修会。インドネシア人の東北大留学生たちが挙げるイスラム教徒向けのハラール対応食の注意点を、料理長(33)が熱心にメモした。
 企画したのは、訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致会社「侍」(丸森町)の太見洋介社長(39)。料理長は「ニーズが多いことが分かった。挑戦する価値がある」と意欲を見せた。
 太見社長は大手不動産で中国の商業施設建設に携わった後、16年7月に侍を起業。県南地域でインバウンドの研修会を開く。「地域の関心が高まり、機運が盛り上がっている」と言う。

<伝統文化が凝縮>
 県南4市9町にインバウンドを誘致する県内初の「日本版DMO」(観光地域づくり推進法人)が3月に設立され、丸森町に拠点を置く。太見社長と、観光プロモーション会社「VISIT東北」(仙台市青葉区)の斎藤良太社長(34)が共同代表に就く予定だ。
 16年2000万人を突破したインバウンドの誘致。政府は東京五輪・パラリンピックがある2020年に、15年の2倍の4000万人を目指す。県も同時期に、現行の3倍増となる延べ宿泊者数50万人を掲げる。
 DMOの初年の目標は県南地域で延べ宿泊者数1万5000人増で、県全体の底上げの一翼を担う。太見社長は「今ほど東北に風が吹いているときはない」と見る。
 温泉あり、食あり、田園風景あり、神社仏閣あり−。太見社長は県南の魅力を、日本の伝統文化が凝縮した「コンパクト・ジャパン」と表現する。

<「個人客増えた」>
 「京都や東京で飽き足りなくなった個人客が増えている」。台湾や欧州などで旅行業者の商談会に参加しての手応えだ。旅行業者への営業や外国メディア活用を強化する。
 情報通信技術(IT)での発信は、米大手IT企業に勤務していた斎藤社長の得意分野。2人は「役割分担しながら戦略的に展開する」と口をそろえる。全国でも珍しい民間主体のDMOの本領発揮が試される。
 「インバウンド誘致は地域の良さを振り返る契機にもなる。雇用創出で若者の流出を食い止め、移住を呼び込む。過疎地の課題解決の切り札にもなる」。東北復興を志して侍を起業した太見社長にとって、真のゴールは地域再生だ。(角田支局・会田正宣)


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2017年01月12日木曜日


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