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金と銀の二枚看板で勝負 岩手ブランド米戦略

銀河食堂で炊き上がった「金色の風」を茶わんに盛る斉藤料理長

 岩手県が約10年かけて開発した県産米の最高品種「金色(こんじき)の風」が今年秋、発売される。2016年に販売が始まった「銀河のしずく」と共に「金銀」の二枚看板を掲げ、全国屈指のブランド米を目指す。県は18年度のコメの生産調整(減反)廃止を見据え、販売競争を勝ち抜こうと戦略を練る。(盛岡総局・松本果奈)

<品質「最高水準」>
 「金色の風」は、でんぷん「アミロース」の含有率が新潟産コシヒカリ並みに低く、食味が優れている。粘り、軟らかさ、甘みのバランスは「国内最高水準」という触れ込みだ。
 「銀河のしずく」は、五つ星お米マイスターが選ぶ「米のヒット甲子園2016」(日経トレンディ主催)で大賞に選ばれ、順調な滑り出しを見せた。
 待ち受けるのは産地間競争だ。東北のブランド米をリードしてきた山形の「つや姫」、県外販売を本格的に始めた青森の「青天の霹靂(へきれき)」などライバルがひしめいている。
 岩手県は職員がサンプルを持って都内の百貨店や高級料理店を回り、首都圏市場への切り込みを狙う。星野圭樹県産米戦略監は「味に自信あり。店に並べてもらい、いかにお客に選んでもらうかだ」と話す。
 鍵の一つは、東京でブランド米を扱う9米穀店がつくる「東京都ごはん区」だ。メンバーは全員、五つ星お米マイスター。店舗や各種イベントで「銀河」をアピールしてきた。
 本橋米店(北区)の店主本橋茂さん(40)は「岩手は毎年、高品質のコメを出荷しており信頼できる産地。東日本大震災に負けず、2品種を開発した熱意を応援したい」と話す。
 全農岩手が昨年10月に都内で開いた試食会では本橋さんが講師を務め、発信力のあるブロガーや管理栄養士らに岩手米の特長を説明した。ごはん区と県は金色、銀河に県産ひとめぼれを加え、南部鉄器など特産品を合わせたギフト商品販売も計画する。
 県がブランド米競争に参戦する背景には減反廃止がある。米価変動は予測できず、需給バランスに影響が出るとの懸念がある。2本柱で岩手米の需要を高めたい考えだ。星野戦略監は「業務用品種を含め、コメ産地としての知名度を上げるためにも失敗はできない」と強調する。

<県内食堂でPR>
 県内ファンの獲得も忘れていない。全農岩手が運営する盛岡市菜園の「銀河食堂」は、ランチでは1杯目に試験栽培した金色、お代わりは銀河を出す。斉藤茂料理長は「どちらも甘みや香りが口に残り、ご飯だけでおいしく食べられる」と太鼓判を押す。
 友人と訪れた盛岡市の60代主婦は「金色は粒が大きくて甘い。銀河は白くて、あっさりした味がおいしい」と食べ比べを楽しんだ。
 同店には毎日約50人が訪れる。全農岩手米穀販売部の信田陽一課長は「消費者からは高評価を得ている。新年度は他の飲食店でも提供したい」と話す。

[金色の風]岩手県農業研究センターが「岩手118号」として開発した。岩手生物工学研究センターのDNA解析技術を活用し、ひとめぼれを突然変異させた1万2000系統からでんぷん「アミロース」の含有率が低い系統を選抜し、ひとめぼれと掛け合わせた。産地は県南部に限定。登録生産者が栽培マニュアルを厳守し、高品質を維持する。


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2017年01月20日金曜日


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